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2020年の東京オリンピックは論争に包まれており、アメリカ人は以前ほど大会を視聴しなくなっています。一般的にアメリカ人は、過去10年の間に着実にオリンピックへの関心を失っており、東京2020もこの傾向を踏襲しています。これは、ケーブルテレビのライブ視聴からストリーミング視聴への視聴方法の移行による可能性もありますが、アメリカのニュースを賑わす、様々なアスリートを中心とした論争の結果であるとも考えられます。
はじめに
東京2020オリンピックは、開催に向けて懸命に闘ってきました。2020年の夏の開催予定が2021年夏に延期され、今年の夏にはパンデミックも終わり、気軽にオリンピックを楽しめるようになると誰もが期待していました。しかし、ワクチンの普及が遅れていること、世界の多くの地域が未だに新型コロナウィルスに悩まされていること、オリンピック選手に関する多くの論争などから、オリンピックに対する好感度は低下しています。
アメリカ人のオリンピックへの関心は何年も前から低下している
テレビ局は、この10年間でアメリカ人のオリンピックへの関心が低下していることに既に気づいていました。2016年に開催されたリオデジャネイロオリンピックでは、2012年のロンドンオリンピックに比べて視聴率が大幅に低下しており、視聴率は20%近く低下し、18歳から34歳までの視聴率は32%低下しました。[1]
視聴率が低かった理由については、アメリカ人が金メダルを取りすぎたために、若者がオリンピックに関心を持たなくなったのではないかと推測する人もおり、[2]それゆえ見ていてもそれほど興奮しなかったのではないかと考えられています。また、2016年の選挙があまりにも心理的負荷の大きいものだったため、アメリカ人はオリンピックに余計な注意を払わなかったのではないかと推測する人もいました。
しかし、現在の東京2020大会の中継の視聴率は安定しておらず、競技への関心が復活しているのか、それとも何か別のことが起こっているのかはまだ分かりません。
アメリカの東京2020オリンピック報道のデータと視聴率について
データとマーケティングの測定会社であるニールセンは、東京2020の開会式が33年間で最も低い視聴率であったと報告しました。2012年のロンドン大会では4,070万人、2016年のリオ大会では2,650万人が視聴しましたが、東京2020ではわずか1,670万人でした。
この傾向は、大会報道が始まった最初の4日間でも感じられ、2016年の視聴者数と比較すると、視聴者数は43%減の約1,700万人となりました。しかしここで注意したいのは、この数字はケーブルテレビや衛星放送を利用している家庭のものだということです。どちらのサービスも昔ほど多くの家庭には普及しておらず、年々その数は少なくなっています。つまり、視聴者数の減少は当然のことなのです。[3]また、アメリカと日本には時差があるため、アメリカ人にとってライブイベントを見るのは難しいということも考慮しなければなりません。
ストリーミング時間を考慮すると、オリンピックへの関心があることは明らかです。NBCは、ストリーミングサービス「Peacock(ピーコック)」でオリンピックを配信しています。報道によると、8月1日(日)までに7億3500万分間もの試合がストリーミングされました。2016年のストリーミング指標と比較すると、24%の増加となっています。
つまり、オリンピックの視聴者数が減少している可能性がある一方で、人々が好みの視聴方法に切り替えた結果、数字が減少した可能性も考えられます。[4]
東京2020オリンピックのアメリカでの視聴率低下の他の原因
東京2020オリンピックでは、視聴方法の変化とともに、さまざまな問題が発生しています。パンデミックの最中に開催されることに多くのアメリカ人が懸念を示しただけでなく、アメリカのニュースを賑わせた論争がいくつかありました。
まず、女子100メートルで優勝が期待されていた人気選手、シャカリ・リチャードソン選手の出場停止です。アメリカは陸上競技や水泳などの種目で活躍することで知られているため、リチャードソン選手の出場停止はかなり衝撃的でした。マリファナの使用により出場停止になったことは、多くの州で娯楽用マリファナの使用が合法とされているアメリカでは、動揺を招くものでした。[5]
次に、シモーネ・バイルズ選手は、精神的な問題を理由に、残っていた床運動の種目を辞退しました。バイルズ選手は、アメリカ史上最も多く表彰されたアスリートの一人であり、全国的に認められた数少ないオリンピック選手の1人です。彼女の出場辞退は、アメリカ人の間で大きな論争を巻き起こし、メンタルヘルスの重要性や、それを理由に辞退することが許されるかどうかについて議論が巻き起こりました。多くのアスリート仲間がバイルズ選手の決断を支持する一方で、アメリカのニュースキャスターの多くは彼女の決断に批判的でした。[6]
以上、2つの論争を紹介しましたが、これらはアメリカ国内で現在話題になっている問題と深く関係があるため、アメリカ人の視聴率やオリンピックの印象に影響を与えている可能性は高いと思われます。
アメリカではオリンピックは中立ではない
オリンピックとIOCが、大会を非政治的なものにしようとしているにもかかわらず、東京2020大会でのアスリートに関する問題の多くは、アメリカ人の間で政治的な問題となっています。このような政治的で二極化を促すような出来事の解釈は、視聴率に影響を与えている可能性が高いですが、それが視聴率の向上につながるのか、あるいは低下につながるのかは、はっきりとは分かりません。オリンピックが終わり、より多くの視聴率データが入手できるようになれば、これらの問題がアメリカ人の視聴意向に大きな影響を与えたかどうか、より簡単に理解できるようになるでしょう。
残念ながら、現在のアメリカでのニュース報道と信念の対立により、政治色のないイベントというものは存在しません。つまり、視聴率、信頼、関心のすべてが、社会の状況から影響を受ける危険性があるのです。 今のところ、視聴率に関するデータは、過去10年間に見られたオリンピックへの関心の低下と一致しています。今後、東京2020年に関するアメリカ人へのアンケートやインタビューが公開されていけば、アメリカでのオリンピックの未来がどうなるのかがはっきりしてくるでしょう。特に、2028年にロサンゼルスでの開催が決定していることから、その動向が注目されます。
参照元:
[3] https://www.washingtonpost.com/sports/olympics/2021/07/31/nbc-olympics-ratings/
[6] https://news.yahoo.com/simone-biles-miss-floor-competition-035436170.html
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