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米国マーケティングトレンド研究会 2016.12.26

J-POPのなかでBABYMETALだけが、米国や欧州で売れた理由

海外で人気の日本のカルチャーとは、どんなものだと想像されますか?漫画やアニメ、ゲームは、日本文化の火付け役と言って良いほどの人気を世界で誇ります。しかし、日本の音楽はどうでしょう。世界の市場で、活躍できているJ-POPミュージシャンといえば、誰を思い浮かべることができますか?

世界の中でのJ-POPの位置づけ

1990年代から2000年代初頭にかけて、J-POPは世界の中で最も音楽が追求される場所の一つだと認識されていました。しかし当時、音楽が世界レベルで注目を集めるためには、アニメと協働して作ることが必要不可欠でした。たとえば、日本のゲーム業界では、ゲームに使われたJ-POPアーティストの多くの曲が、米国や欧州で流行しました。

独特なサウンドとキレのあるダンスが有名なPerfumeは、2000年のデビューから、海外での活躍が著しく、また宇多田ヒカルはゲーム「キングダムハーツ」や、アニメの「エヴァンゲリオン」の楽曲の製作により世界的に有名になりました。しかし、彼女達が世界で名を轟かせて以降、J-POPが世界的なマーケットへ進出することはありませんでした。そんな2000年代初頭から停滞していたJ-POP界に風穴を開けたのが、日本のアイドルグループ「BABYMETAL」でした。

 

「BABYMETAL」の誕生

「BABYMETAL」は2010年に結成された、日本の女の子3人のアイドルグループで、「アイドルとメタルの融合」をテーマに結成されました。結成当時の平均年齢は11.3 歳で、元々は、大手音楽事務所AMUSEによるアイドル「さくら学院」から派生したクラブ活動の一つ「重音部」という位置づけでしたが、やがて独立したグループとして活動するようになります。
米国や欧州をはじめ、ワールドツアーも行なっており、ソールドアウト公演も続々と出るほどの人気で、Lady GaGaやRed Hot Chili Peppersの公演のオープニングアクトを務めたことでも有名です。

53年ぶり、日本人アーティストの全米チャートTOP40入り

BABYMETALの世界での人気を裏付ける記録があります。2016年4月に世界同時発売した彼女たちのニューアルバム『METAL RESISTANCE』が、アメリカ・ビルボード総合アルバムチャートで39位にランクインしました。収録曲のほとんどは日本語歌詞です。
日本人アーティストがTOP40入りしたのは、史上2組目の快挙です。1963年に、坂本九さんのアルバム『Sukiyaki and Other Japanese Hits』が14位に入って以来53年ぶりでした。全英チャートでも、日本人アーティスト最高位の15位にランクインしました。BABYMETALの世界からの注目度の高さが分かります。

J-POPの中で「BABYMETAL」だけが世界で受け入れられた理由

では、なぜBABYMETALがこんなにも世界に名を馳せることになったのでしょうか。それは、「世界のメタルロックファンからの支持が強い」ということが大きな点です。彼女たちは一見、日本の一般的な「ティーンネイジャーのアイドルグループ」に見えますが、その可愛らしい外見からは想像もつかない「サウンド」に非常に定評があります。
また、メタルロックを敬愛しているBABYMETALのスタッフ陣は、初期より海外でのライブを積極的に行っており、海外のファンを徐々に増やしていきました。なかでも、メタルロック系の大型フェスティバルに出演し、デビュー当初からメタルファンの支持を集めたことが、効果的なターゲティングにつながったと言えます。

日本語が世界に与えるインパクト

海外の音楽市場への進出を考えると、英語の楽曲を作ることが重要だと思う方もいるかもしれません。しかし、それは思い込みといえるでしょう。英語で歌ってしまうと、競合が「海外の英語ネイティブのミュージシャン」になるので、個性がなくなってしまいます。今、世界が求めているのは「日本オリジナルのコンテンツ」なのです。
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歌詞が日本語であるがゆえ、海外の人々にとっては、何を歌っているのか分からないため、その歌詞の内容が気になります。だからこそ、BABYMETALが英語で歌うのではなく、世界的にもマイナーな日本語で歌うということにも、海外の人々から興味を惹く理由の一つなのです。

ポップ・ミュージックの世界の市場は欧米のカルチャーが定着しており、J-POPの音楽が世界のチャートにランクインすることを、誰が予想していたでしょうか。世界的にはメインストリームの音楽とは言えない「メタル」と、日本国内の流行とも言える「アイドル」という日本独自の文化を融合することで、一見成熟しきってしまったとも思えるJ-POPのなかから、斬新なマーケティング戦略が生まれることになったのです。BABYMETALの海外進出に習い、海外のマーケットで活躍できるような、日本のエンターテイナーがでてくるのかどうか今後に注目です。

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参考記事
THE INQUISITR NEWS: BABYMETAL: WHY IS THE HYBRID METAL AND IDOL GROUP THE MOST POPULAR J-POP ACT INTERNATIONALLY?
WEDGE: BABYMETALが米チャート入りした意外な理由
NIPPON.COM:BABYMETAL世界を席巻—マーティ・フリードマンが語るその魅力
The Huffington Post:BABYMETAL、ビルボード全米TOP40入り アルバム部門で坂本九さん以来

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