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ユニクロはアジアで最も人気のある衣料品ブランドの一つであるにもかかわらず、アメリカでは目覚しい成功を納めていません。その理由は、生産スケジュールやシンプルなスタイル、さらには地球温暖化など、さまざまな要因が挙げられます。しかし、コロナ禍でユニクロはワイヤレスブラで一定の成功を収めました。今回はそのマーケティング成功事例をお届けします。
アジアで最も人気のある衣料品店の一つであるにもかかわらず、アメリカでは、他の国のようにユニクロへのラブコールは聞こえてきません。ユニクロインターナショナルは2017年時点で1,089店舗存在し、日本だけでも831店舗を展開していました。当時、ユニクロインターナショナルの利益総額は、ユニクロ全体の売上高の約47%でした。[1]
それにもかかわらず、ユニクロは2006年にアメリカに1号店を出店して以来、この15年間でアメリカ国内に50店舗ほどしか出店していません。この大成功を収めた小売企業が、なぜアメリカ市場には定着しないのでしょうか。
アメリカで苦戦してきた原因: アメリカの消費者にアピールするためのローカライゼーションに苦慮するユニクロ。
アメリカでのユニクロの成長を阻害している要因はいくつかあります。
ユニクロを所有するファーストリテイリング社によると、その要因の一つが地球温暖化です。米国のユニクロの売上予測が外れた近年、ファーストリテイリング社は「暑すぎてユニクロの服を買う人が減り、コレクションが天候に左右されるようになった」と報じています。ヒートテックは、アメリカの一部の消費者に人気のある商品でしたが、気温の上昇により購入してもらえなくなりました。そのため、CFOの岡崎氏は、発売日をずらしたり、天候に左右されやすい商品を減らしたりしています。[2]
また、ユニクロはH&MやZARAのようなファストファッションブランドではありません。新しいデザインを急速に生み出す代わりに、事前に計画されたコレクションを販売しています。そのため、常に変化するファッションの状況に対応するのが難しいのです。特に、今日のソーシャルメディア環境では、トレンドの流行と消滅のスピードがかつてないほど速くなっています。このようなトレンドをいち早く取り入れることができれば、ブランドを維持することができるのです。
ユニクロが米国市場で成功していないもう一つの要因は、そのスタイルにあります。ユニクロのファッションの特徴は、ミニマリズムです。色はシンプルに、デザインは着やすく、機能的に仕上げています。しかし、アメリカの情熱的なファッショニスタにとって、このスタイルはあまり刺激的ではありません。ユニクロの「オーバーサイズ」は、ミレニアル世代の体にフィットしたファッションから脱却したZ世代に人気がありますが、コロナ禍で多くのアメリカ人を感動させたある商品がありました。
アメリカでのマーケティング成功事例:ユニクロ ワイヤレスブラの品質と商品が光る
2020年は、買い物の形態が対面式からオンライン式へと大きく変化し、人々が購入するものも変わってきました。2020年に小売業界が打撃を受けたのは、新しい服を必要とする場面が減ったからでした。仕事用のスラックスやパーティー用の美しいドレスを買う代わりに、部屋着やアスレジャーウェアなど、家の中で着るのに適した着心地の良い服が買われるようになったのです。
特に、ユニクロではブラジャーの売れ行きが好調です。アメリカでのブラジャーの売上は、2020年後半に全体で1%減少したにもかかわらず、ワイヤレスブラの売り上げは14%もアップしました。[3]ユニクロは約10年前にワイヤレスブラだけを作ることを発表しましたが、そのスタイルへのこだわりがようやく実を結んだのです。
多くのアパレル企業は、女性用下着への投資を好みません。コレクションの企画には多くの時間がかかり、多くの人の好みを考慮しなければならず、ラインが成功するために必要な資金も相当なもので、基本的には大きなリスクを伴います。しかし、ユニクロにとって快適なインナーウェアは、何年もかけて開発してきたものです。
コロナ禍で、ユニクロは快適な下着を求める新たなニーズにマッチした商品をすでに用意していただけでなく、ユニクロの紛れもない品質は、ターゲット(アメリカの小売企業)のようなファストファッションの生産技術を持つ企業と比較しても際立っていました。これにより、同社のワイヤレスブラは、女性用下着の分野で過去10年間に最も成長した商品となりました。
ユニクロがアメリカで成功するには?その為のマーケティング戦略は?
ユニクロと米国のトップ企業との最大の違いは、そのマーケティング戦略にあります。米国の大手小売企業の多くは、商品の消費期限を短くし、常に新しいデザインを生み出すことを目的としていますが、ユニクロは長期的なマーケティング戦略を持ち、スタイルを一貫したものにしています。しかし、ユニクロはこのマーケティング戦略でも2つの方法で成功することができます。
まず、長期戦略の最大の特徴は、通常のファストファッションよりも環境に優しいことです。ユニクロは、流行が終わる前に売れなかった服を山のように捨ててしまうのではなく、よりサステナブルなブランドと言えます。このようなポジショニングは、環境意識の高いジェネレーションZに人気が出る可能性があります。気候変動への不安は彼らの最大の関心事であり、地球に優しいブランドは、将来、より多くのZ世代の顧客を惹きつけることができるでしょう。[4]
また、アメリカでのマーケティング戦略で重要なのは、すでに店舗がある地域に焦点を当てることです。新しい都市に進出するのではなく、「社会に貢献したい」と、ユニクロの米国部門のCEOである塚越大介氏は語っています。ユニクロのマーケティングキャンペーンには、ニューヨークやロサンゼルスなど、その土地にゆかりのある人物を起用し、ユニクロ自身がその地域の一部になろうとしていることを表しています。ユニクロの長期にわたる一貫したファッションスタイルは、一目でそれとわかるものであり、地域社会の中で常に目にする存在となることができます。
アメリカ人は普段、シンプルでミニマルなファッションを好みませんが、ポストコロナのアメリカでは、機能的で親しみやすく、環境に優しいファッションが受け入れられるようになるかもしれません。
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