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米国マーケティングトレンド研究会 2021.01.12

ブランディング:地球保全を第一に考えるブランドが支持される、若い消費者とサステナビリティトレンド

サステナビリティはここ数年で勢いを増しているトレンドですが、2021年には、あらゆる業界の大手企業が、より環境に配慮した倫理的な取り組みにどれだけコミットしているかをアピールしていくでしょう。このような変化の要因には様々なものがありますが、なかでもミレニアル世代やZ世代の若い消費者が、事業活動において環境保全を第一に考えているブランドや企業を好むようになったことが大きな要因です。このブログでは、2021年以降のサステナビリティの目標について、業界を超えたいくつかの事例を紹介します。

2020年は記録的な自然災害に見舞われた年でした。オーストラリアとカリフォルニアの山火事、ベンガル湾を押しつぶしたサイクロン「アムファン」、日本では台風「ハイゼン」、そして9月にはデスバレー(アメリカのカリフォルニア州中部、モハビ砂漠の北に位置する深く乾燥した盆地)が100年以上で最も暑い気温を記録しました[1]。記録的な気温が夏の間も続きましたが、これはすべて気候変動の影響から発生しています。

大企業の工場が毎年大量の排出物を空気中に排出し、これらの自然災害を悪化させる原因となっていることは、長い間証明されてきました。どのくらいの量かというと、収集を開始してから報告された排出量のデータによると、アメリカの食品・飲料会社15社が、オーストラリア大陸全体からの排出量(地球上の排出量トップ20のうちの1つとして認識されている)よりも多くの温室効果ガスを排出しています[2]。しかし、一部のブランドでは、生産ラインをより持続可能なプロセスに変更することで、環境の悪化を改善しようとしています。

ここで重要なのは、サステナビリティ追求へのシフトは一つの業界に限定されるものではなく、ファッション業界、美容業界、食品・飲料業界など、全体的に拡がっているということです。ここからは、いくつかのブランドがどのように計画を実行に移しているのか、ほんの一例ですが、ご紹介します。

[3]画像:2020年ロクシタンのアドベントカレンダーボックス(beatyadventcalendars.netより)

数年前からサステナビリティを追求しているブランドの一つが、フランスの美容ブランド「ロクシタン・アン・プロヴァンス」です。彼らは2019年のホリデー商品においてパッケージングラップを完全に排除し、2020年には環境への取り組みをさらに一歩進めました。彼らは包装の表面のプラスチックのトレイを排除しただけでなく、2つのアドベントカレンダーを含む2020年の40以上のホリデー関連商品のラッピングを、パルプ成形品で製作しました。ロクシタンのパッケージングディレクターであるコリンヌ・フグリエ-ギャレル氏によると、この取り組みの結果、28トン以上の不要なプラスチック廃棄を防ぐことができました。[4]

[5]画像:コンシャスコレクションのために作られた一着。(H&Mのウェブサイトより)

ファッションブランドも、2021年以降の人気を強固なものにするため、サステナビリティのトレンドに注目しています。The Business Research Company(英国のマーケティングリサーチ会社)は、世界の「エシカルファッション」産業は2019年の63.5億ドルから2023年までに82.5億ドルに成長すると予測しています(2020年時点ではCOVID-19のパニックと規制が主な原因で61.4億ドルまで微減していますが、ここではそれは無視しています)[6]

この分野で脚光を浴びているブランドの1つがH&Mで、コンシャス・コレクション(パイナップルレザーやリサイクルポリエステルなどの持続可能な素材を使用した衣料品)を販売しています[7]。2020年には、A/W20コレクションと呼ばれる食用作物の廃棄物から作られたコレクションを発表し、さらに進化を遂げています。 H&Mのクリエイティブアドバイザーであるアン-ソフィ・ジョンソン氏は、このコレクションについて次のように語っています。「A/W20では、廃棄物に焦点を当てることで、創造性とサステナブルなファッションの限界を押し広げる、先駆者になりたかったのです。その結果、このコレクションの作品は、廃棄物から作られた本当に素晴らしい素材で作られています。このような変化を遂げ、美しさを通してお客様と対話することで、廃棄物がサステナブルなファッションの未来の一部になることを願っています」と述べています。[8]

テクノロジーの大手企業でさえ、より持続可能性の高い企業へのシフトを進めています。Consumer Technology Association(米国の消費者テクノロジー企業を代表する貿易協会)によると、マイクロソフトは、2030年までに「ウォーター・ポジティブ」になることを公約しています。これは、湿地の修復や敷地内の雨水収集システムなどのプロジェクトに投資することを指しています。[9]

サステナビリティの活動に取り組むブランドは、正しい行動を行うと同時に、消費者からの好感度が高まり、結果として売上の増加が期待できます。これは、製品がどのように作られているのか、どこから来たのかについての透明性を求める消費者の要求が高まっていること、また、最大60%の消費者が、環境に良いのであれば買い物の習慣を変えることを厭わない、ということに起因していると考えられます。[10]

Z世代の認識と購買意向を調査したところ、彼らの世代の最大73%が、持続可能な方法で作られた製品であれば、より高い金額を支払うことを望んでいることがわかりました。今後数年で多くのZ世代が成人になり、彼らの購買力が既存のブランドにとって重要になっていく中、早い時期からより持続可能なビジネスにシフトし、市場を先取りすることは賢明な判断といえるでしょう。

 

 


参照元:

[1] https://www.nbcnews.com/science/environment/think-2020s-disasters-are-wild-experts-say-worst-yet-come-rcna114

[2] https://www.nrdc.org/experts/josh-axelrod/corporate-honesty-and-climate-change-time-own-and-act

[3] https://beautyadventcalendar.net/loccitane-advent-calendars-2020/

[4] https://www.glossy.co/beauty/brands-look-to-holiday-assortments-to-introduce-sustainable-practices/

[5] https://www2.hm.com/en_us/life/culture/inside-h-m/conscious-exclusive-aw20.html

[6] https://www.thebusinessresearchcompany.com/press-release/global-ethical-fashion-market-trends-and-strategies

[7] https://ecowarriorprincess.net/2020/11/sustainable-fashion-trends-2021/

[8] https://about.hm.com/news/general-news-2020/h-m-s-conscious-exclusive-a-w20-collection-explores-the-beauty-o.html

[9] https://www.ces.tech/Articles/2020/October/Microsoft%E2%80%99s-Ambitious-Environmental-Plans.aspx

[10] https://www.ibm.com/downloads/cas/EXK4XKX8

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