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ずいぶん昔、Dannyという名の社員がいた。横浜オフィスを立ち上げて数年経った頃で、セールス担当をしてくれた。
で、いま、目の前にいて、一緒に食事をしている。
南カリフォルニア、ダナポイントのフレンチレストランという場所で。
「これ、めっちゃうまいですね!」
彼と最後に食事したのは、横浜の元町だっただろうか?
奇妙な縁だ。
「もう何年になる?」と私。
「2008年頃ですから、12〜13年くらいになりますかねぇ」と彼。
顎ヒゲが白髪になっている以外、何ら変わらないな。
「のぶさんも、ぜんぜん変わりませんねぇ」。軽いノリ、屈託のない笑顔と饒舌さ。
日本人離れしているところも、当時と変わらない。
今回は、アトランタから一人で友達に会いに来たのだと言うが、理由は聞かなかった。
「2008年かぁ、一番大変な時期にいてくれたんだね。Dannyが辞めてから会社の運気がよくなったよ笑」。
私は毒を吐き、二人で大笑いする。
彼は中学の頃からプロゴルファーを目指し、オーストラリアに留学していたという異色の経歴を持つ男だ。
型にはまった人よりふつうじゃない人を好む私の、彼は典型的な例なのかも知れない。
はっきり言って何も成果を残さず、3ヶ月から6ヶ月ほど在籍してさっさと退職していった、いわば迷惑な人だった。
そんなはずなのに、またこうやってアメリカで再会して、お互いの無事と成長を喜んでいる。
「娘さんには、日本語を教えましたか?」と彼。
結婚した時も子供が生まれた時も、数年前に渡米してきた時も手紙をくれた。今やすっかり子煩悩なパパなのだ。
会社で付き合った僅かな期間より、その後の付き合いの方がずっと長い、これまた規格外である。
「うちはねぇ、日本語よりAI言語を学べって息子に言ってるんですよ、これからはもうAIが世界共通言語なんですから」。
自身の教育論を滔々と語る。話を聴きながら、成長したなぁと嬉しくなる。
彼は最近、良いことをしたくて、子どもたちの教育のために絵本を書いていると言う。
アマゾンで10ドルで売っていて、驚いたことにこんな本でも買ってくれる人がいるのだと喜んでいた。
「眠る前に、その日感謝したい三人を選んで、声に出して感謝するといいんですよ、そんな本です」。
ロサンゼルス空港に向かう間の時間を惜しみ、Dannyは車のなかでも弾丸のように話し続けた。
「本当にいいですから、眠る前にやってみてくださいね」。
彼が立ち去った後、急に静かになった車内で、ふと、これはコロナ禍に誰か(神様が)つくってくれたギフトみたいな時間だったのだと思った。
もしくは、私たちが13年前に蒔いたい種が実となり花となり、遠い場所から元気を運んできてくれたということだろうか?
その夜から、三人の名前を上げて感謝することが私たち夫婦の日課となった。
そして、それは健康的な習慣であり、一日を終える際の素晴らしい儀式であるようにさえ思えた。
就寝中に計測しているSleep IQのスコアが良くなったと感じるのは、気のせいではなかろう。
本の紹介をここに。https://www.mygratitudebook.com/
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