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社長の「のぶログ」 2019.02.26

これが本場のレディーファーストか? 完璧だった!

アメリカに住んでいても、レディファーストを感じることはほとんどなくなった。レディファーストは男のたしなみ。それが当たり前になってしまった、ということかもしれない。
だから、うちのアメリカオフィスで働いているアシスタントPMのATさんのディリーレポートを読んだ時、一瞬、時代錯誤に陥った感覚に見舞われた。レディファーストってなんだったっけ?というふうに。
ちなみに、日本語のウィキペディアにはこう書かれている。「レディファースト:女性が真っ先にしよう、とは、ヨーロッパ上流階級における淑女のマナー(女性が先に準備して男性を迎える、女性が先に済ませる、女性が先に退出し男性の会話に加わらない、など)を示した言葉であり、時代が下ると、女性の優位性や優先権を示すなど、当初とは逆の意図で用いられることも多くなった」とある。
現代(特に欧米)では男女平等の観点から、性別に基づいた行動理念は古臭い思想となったということらしい。
ここで、ATさん@現在進行形の米国カリフォルニア州のレポートをそのまま引用する。
「ここ数週間、引っ越しのため、生活用品を揃えていた。何度かターゲットに行ったが、入り口付近で派手に展開しているバレンタインコーナーを横目で見ながら、自分とは縁のないイベントとして通り過ぎていた。しかし昨日の朝、オフィスの裏口から入る際に、10メートルも前を歩いていた2人の男性が、扉に手をかけてもオフィスにはいらず、そのまま突然振り返って、扉を開けてくれたのだ。何という事!衝撃が走った。不意を突かれて、私は驚きのあまりとにかく目と口を大きく見開き、つたない英語でセンキューといって、背を曲げてそそくさと彼らの前を通り過ぎた。
彼らにとっては幼少期から植え付けられた習慣で無意識に行っているレディファースト。私にとってはアメリカに来て初めてのことだった。というより、むしろ生まれて初めてだった。これが本場のレディーファーストか。完璧だった彼らに対して、恐らくあの時の私は『レディーファーストに慣れていない日本人』丸出しだったと思う。本当に目が飛び出るくらい驚き、うれしかった。彼らは10メートルも後ろを見る余裕があったのか。そして打ち合わせもしていないのに、2人で同じタイミングで振り返るというのは、習慣化されているからこそなしえる神業だ。余韻に浸りながら、そんなことを考えていた。
女性から何かプレゼントをするはずのバレンタインに、心が浮かれるようなプレゼントをもらった気分になった。ありがとう。レディファーストのみならず、困っている老人や子どもに声をかけて助けるなど、アメリカ人は積極的に手助けを行っているイメージがある。それは習慣なので全然押しつけがましくないし、見ていて気持ちが良い。折角アメリカにいるのだから、私も10メートル後ろを見る余裕をもって、普段から人に気遣いできる人間になって帰ろう。そう思えたバレンタインの出来事だった」。
女性から何かプレゼントするはずのバレンタイン、という部分だけ実は事実とは異なり、男性から女性にバラの花束を贈るのがアメリカの典型的なバレンタインディなのだが、そういう意味で彼女はバレンタインディに、たまたまそこに居合わせた男性たちから思いがけないレディファーストというプレゼントをもらったのだと思う。
もっとも日本ではレディファーストという概念さえ存在しないが、それはアメリカの男性に比べ、(少なくとも態度で示さないという意味において)女性や体力的に劣る者をいたわる意識が低いからだと率直に思う。
ところで、ATさん、アメリカにはホワイトディはないので、お間違いなく。
ワイズアンドパートナーズ代表 結城喜宣

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