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アメリカの食生活は、日本と比較して質が良くないというイメージがありますが、近年ではより健康的な食生活を求めるアメリカ人が増えています。これは、パレオダイエット、ケトダイエット、Whole30ダイエットなど、さまざまなダイエットの形で現れています。しかし、なぜこれらのダイエットが人気なのでしょうか。また、これらのダイエットにはどのような共通点があるのでしょうか。この記事では、こういったダイエット傾向から読み取れるアメリカの消費者について考察します。
はじめに
1980年代以降、アメリカでは様々なダイエットが流行してきました。アメリカは、食べ過ぎ、高糖質、高炭水化物の食生活、そしてもちろん、ビックマックのような過剰なサイズ感でも有名です。
この30年の間、たくさんのダイエット法が生まれては消えていきました。現在、最も人気のあるダイエット法は、パレオダイエット、ケトダイエット、Whole30ミールプランなどです1。
アメリカのダイエットが人気である理由、そして、今最も人気のあるダイエット法は何なのでしょうか。
今、アメリカで流行しているダイエット法にはどんなものがあるのか、その共通点を見てみましょう。
1)パレオダイエット
パレオダイエットは1970年代から存在していましたが、2002年に出版された本でその効果が一般にも知られるようになってから、大変人気となりました。「パレオ」という名前は、人類の歴史の中で旧石器時代を表すのに使われる「paleolithic(パレオリシック)」という言葉に由来しています。旧石器時代とは、人類が主に石で道具を作っていた時代のことで、300万年前に最初の道具が作られたとされています。パレオダイエットの大きな特徴は、加工食品を一切使用せず、植物、肉、木の実、根菜などを中心に摂取することで、乳製品、穀物、豆類、加工油脂、塩類、アルコール、コーヒーなどを避けます2。
人類が実際にパレオダイエットのような食生活をしていたかどうかは、これまでも議論されてきました。また、パレオダイエットを行うことで体の組成が改善されるというエビデンスもありますが、その一方でリスクも指摘されています。パレオダイエットでは、カルシウムを十分に摂取できない場合もあり、食事のスタイルを変えたことで、頭痛などの不快な症状が出たという声もあります。総じて、各個人が必要とする栄養素や欲求に左右されるといえます。
2)ケトダイエット
ケトジェニックダイエット(略してケト)は、もともとてんかん患者の発作を抑えるために開発された高脂肪、高タンパク質、低炭水化物の食事療法です。1920年代から30年代にかけて、製薬会社がてんかん治療のための優れた薬を開発するまで人気を博していました。90年代半ばには、ハリウッドのプロデューサーが2歳の息子の発作を抑えるためにこの食事法を用いたことで注目を集め、人気が再燃しました3。
現在では医学的な目的で推奨されるだけでなく、多くの人が「ケトーシス」状態になるための食事法のガイドラインとして利用しています。ケトーシスとは、炭水化物を十分に摂らない状態が3〜4日続いたときになる体の状態のことを指します。3〜4日炭水化物を摂らない状態が続くと、通常の燃料である血糖が不足するため、体が脂肪を燃やし始めます。2020年にアメリカで最も人気のあったダイエット方法の一つです4。
3)Whole30
30日間、加工されていないWhole(自然)食品だけを食べ続けることから名付けられた「Whole30(ホール・サーティ)ダイエット」は、その方法を詳しく説明した本が発売されて以来、人気を博しています。
画像:Whole30ダイエットで食べることが許されている食べ物の例
Whole30では、1ヶ月間、「本物」の食品だけを食べることが求められます。惣菜売り場の肉、新鮮な野菜のみが許され、加工されたものは一切食べてはいけません。これには、油、豆類、乳製品、穀物、加工砂糖、ジャガイモなどの特定の野菜も含まれます。総じて、平均的なパレオダイエットとよく似ています。しかし、Whole30の目的は、体重を「減らす」のではなく、消化管を「リセット」することだと言われています。余分な食べ物を排除し、乳製品や穀物などの食品をゆっくりと食事に再導入することで、それらの食品の消化器系への影響を確認することができるのです5。
まとめ
では、これらのダイエット法にはどのような共通点があるのでしょうか。また、これらの食事から、より意識的に食事を改善しようとしているアメリカ人について何が読み取れるのでしょうか。
共通点のひとつ目は、低炭水化物の食事に偏っていることです。小麦や米などの穀物の摂取量を減らすことで、1日に摂取する炭水化物の量を大幅に減らすことができます。「炭水化物」という言葉は、まるで毒であるかのように扱われており、アメリカ人は、炭水化物が多いと言われる食品に食欲をそそられません。もう一つの共通点は、より多くのエネルギーを約束することです。これらのダイエット法は、単に体重を減らすだけでなく、より良い食品を食べることで体をより元気にすることを目的としており、砂糖や塩分、保存料などが多く含まれる加工食品を避けることも重要です。これらのダイエット法はアメリカで非常に人気があり、企業は自社製品に「パレオフレンドリー」「ケトフレンドリー」「Whole30承認」などの広告を出し始めています。
画像:「ケトフレンドリー」をはじめとするヘルシーな流行語の数々。
こういった食事の選択傾向から、アメリカ人が現代の食生活の問題点に意識を向けていることがわかります。アメリカ人は、パンや乳製品といった主食を避け、家庭で調理しなければならない「本物」の食品に置き換えることに重きをおいています。
この食事傾向は、パンデミック期間中のアメリカ人の買い物パターンを反映しており、2020年半ば以降、強い免疫システムを促進する健康的な食品や自然食品の売り上げが急増しています。
アメリカのひどい食生活に対するさまざまな固定観念は存在しますが、一部のアメリカ人はまったく異なるスタイルの食生活に移行しています。今後、アメリカで食品を販売しようとする際は、この変化を念頭に置くことが成功の鍵となるでしょう。
参照元:
[1] https://www.yummly.com/dish/079818/understanding-americas-most-popular-diets
[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Paleolithic_diet
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Ketogenic_diet
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