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米国マーケティングトレンド研究会 2021.03.25

ダイエットトレンド:新型コロナウィルスはアメリカのフィットネスやジムをどう変えたのか?

米国では2021年5月1日以降、すべての成人が新型コロナウィルスの予防接種を受けられることになり、人々はジムに通うことを含め、パンデミック以前の活動に戻れるようになります。しかし、ロックダウン中に登場したオンライン化されたサービスやジムの常連が取り入れている新しい習慣、また、社会的に求められる身体基準ではなく、個人の健康のためにフィットネスを始める新しい考え方を持つ人々により、ジムの風景は不可逆的に変化したと考えられます。

1)はじめに

2020年、新型コロナウィルスにより、ジムを含むすべてのファシリティが閉鎖されました。ジムのような施設では、激しい呼吸や密接な接触が行われ、常に消毒されていない器具が共有されるため、ウイルス蔓延の温床となっていました。米国での最初のロックダウンの際、ジムは、段階的な再開計画の中で、最後に営業が許可されるサービスの一つとして挙げられていました。

しかし、2021年の今、新型コロナウィルスのパンデミック終焉が見え、ジム施設の早期オープンを選択したいくつかの州では、人々はいつものワークアウトの習慣に戻り始めています。

しかし、すべてが元通りというわけではありません。新型コロナウィルスの世界的な流行により、アメリカのフィットネス習慣に良い変化を生み出したという見方もあります。以下では、そうした変化について解説していきます。

2)通常のジムの利用者

パンデミックの初期である2020年7月に発表された、アメリカ人がジムの会員権についてどう考えているかという調査結果では、問題となり得る兆候が表れていました。それによると、調査対象となったアメリカ人の59%が、パンデミックが終わってもジムのメンバーシップを更新するつもりはないと答えていました1。回答者の多くは、閉鎖された環境下で体力を維持するために、よりクリエイティブで安価な方法を見つけなければならなかったため、とその理由を説明しています。

しかし、このような考え方は続きませんでした。2021年1月になると、より健康的なライフスタイルを身に着け、新年をいい気分でスタートしようと試みる人により、ジムの会員数は例年と同じように増加し始めました。実際、2021年の新規入会者数が例年よりも多かった企業もあります。一部のジムは入場制限をしながら営業しており、南カリフォルニアのような温暖な気候の地域では、顧客がより安全にジムを利用できるよう、マシンや機器を屋外に移動している施設もありました。ただ、例年1月頃に流行る「夏ボディ」の宣伝文句は、今年はあまり効果がなさそうでした。

3)オンラインクラス

対面式のジムのクラスで収入を得ていたインストラクターにとって、今回のロックダウンは給与維持の大きな障害となりました。そこで、多くのインストラクターは、個人的に、あるいは所属するジムを通じて、オンラインクラスを提供するようになりました。

また、特定のお気に入りのインストラクターがいない人のために、無数の健康・フィットネスアプリが準備されました。たとえば、ウェルネスサービスのマーケットプレイスである「Mindbody(マインドボディ)」では、ピラティス、ヨガ、バレエ、その他多くのエクササイズに興味のある人のために、たくさんのオンラインクラスが用意されました。これらのクラスに参加するには料金を支払う必要があり、アプリを使えば自分の進捗状況を確認したり、参加したいクラスを探したりすることができます。

2021年に発表された記事によると、マインドボディで最も人気のある有料購読のクラスは、ヨガのクラスだそうです。例年は、有酸素運動のような脂肪燃焼に重点を置いたクラスが人気でしたが、ヨガは体形を整えるためのものではありません。ヨガは、心の平穏、マインドフルネスを学ぶためのものです。つまり、これまでは「夏の体」を手に入れることがジム入会の原動力だったのに対し、2021年、人々は精神的な健康をより重視しているということになります2

前述のブルームバーグの記事では、多くの施設がオンラインと対面のハイブリッドモデルを採用したことで、オンラインクラスの需要が劇的に増加していることについても触れられています。2019年のオンラインクラスの需要は25%程度でしたが、現在は72%程度と3倍近くになっています。

4)それぞれの受け止め方の違い

おそらく最大の変化は、実際のジム施設に通う人と通わない人の違いでしょう。2021年3月現在、各州でさまざまなマスク着用義務が徐々に解除されていますが、それでもジムに行くことを拒否する利用者がいる一方で、マスクが不要になった時点でジムに戻る利用者もいます。施設によっては、トレーニング中のマスク着用義務を維持するところもあれば、州政府に倣ってマスクの着用を任意とするところもあり、場所によってその対応は変わっています。

このように、運動習慣維持のためにさまざまな方法を模索する1年を送った後なので、すぐにジムに戻る必要性を感じていない人もいます。この1年で多くの人が、近所のジムで今まで使っていた運動器具をすべて自宅に揃えました。実際、Peloton社のエクササイズ・バイクは、その需要の大きさゆえに出荷が遅れているほどです3

5)結論

2020年末までに6,000以上のヘルス&フィットネスクラブが完全に閉鎖されました。これは、2020年初頭に存在していた40,000店の17%にあたります4。2021年2月になっても、米国疾病対策センターは、ジムが感染症発生の大きな震源地になっているというシカゴやホノルルで行われた調査を挙げ、人々にジムに行かないよう警告しています5

アメリカ人の多くがワクチンを接種するようになると、安全な環境を提供できるジムが増えてくるでしょう。しかし、1年間を家で過ごし、直接ジムに行けない期間が長かったことで、新しいオンラインクラスのような習慣を取り入れたり、健康のためではなく心の安らぎのために運動したり、多くの変化が生まれました。ジムの置かれる状況は今後、以前とは全く異なるものになるでしょう。

参照元:

[1] https://www.cnbc.com/2020/07/23/many-dont-plan-to-renew-their-gym-memberships-post-pandemic-

[2] https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-19/fitness-industry-may-never-return-to-its-old-ways-after-covid-19

[3] https://www.wsj.com/articles/some-peloton-buyers-are-sick-of-waiting-11606213803?mod=article_inline

[4] https://www.wsj.com/articles/the-gym-is-open-but-everythings-different-11615887001

[5] https://www.nytimes.com/2021/02/24/health/coronavirus-gyms-outbreaks.html

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