ブログ
アメリカの高級百貨店チェーンであるBloomingdale’s(ブルーミングデールズ)が、新しいコンセプトの実店舗をオープンする予定だと発表しました。この実店舗のコンセプトが、ポストコロナの百貨店業界のトレンドになるとして、注目されています。
近年のアメリカの百貨店事情
ここ数年間、アメリカではブルーミングデールズを含め、百貨店にとってとても厳しい経営状況が続いています。この経営不振を全てパンデミックのせいにすることは簡単ですが、現実にはすでに数十年前から百貨店業界の衰退は始まっており、パンデミックはそれを加速させてしまっただけにすぎないでしょう。
この百貨店業界衰退の一因には、消費者のショッピングモール離れがあげられます。マーケティングについて数々の著書をだしているAllen Adamson(アレン・アダムソン)は、「消費者がランチを跨いで1日かけてショッピングモールで店舗をはしごし、欲しいものを探す時代は終わった」と話しました[i]。
従来の百貨店のコンセプトとは違う「ブルーミングデールズ」の新店舗コンセプト
そんななか、最近では「Macy’s(メイシーズ)」や「Nordstrom(ノードストローム)」など、ショッピングモールに拠点におく百貨店が、ショッピングモールから独立し、自身の実店舗をオープンするケースが見られます。そして、同じくショッピングモールに拠点をおく百貨店「ブルーミングデールズ」も、今年中に初の試みである、僅か22,000平方フィートの小規模な実店舗をバージニア州にオープンすると発表しました。
ブルーミングデールズのウェブサイトでは、新店舗について、従来の百貨店のコンセプトである「たくさんの様々な商品が一つに集結しているところ」ではなく、「お客様が訪問するたびに新しいお気に入りが見つかるところ」として、厳選された商品のみを取り扱い、早いペースで移り変わっていくトレンドとともにセレクションも頻繁に変わる店舗になると公表しています。
また、百貨店よりも小さい店舗スペースを活かし、購入商品の返却ボックスや、インストアとカーブサイドピックアップサービス(オンラインで事前注文した商品を駐車場で車にいるまま受け取ること)を設けるなどして、なるべくお客様がスムーズに出入りができる工夫もされています。
お買い物体験をよりパーソナルに。
ブルーミングデールズの新店舗では、キュレートされたよりフレッシュな商品だけでなく、百貨店にはない、よりパーソナルなカスタマーサービスも期待できると言われています。多くのアメリカの百貨店は、売り場スペースが大きいながらも、商品の購入や、返却、受け取りなど全てを一カ所のレジで対応していますが、ブルーミングデールズでの新店舗では、通常のレジとは別に、お客様の質問に答えたり、スタイリング、ギフトラッピング、洋服のお直しをしたりする「フロントデスク」があります。
新型コロナと人材不足の影響で、テクノロジーを使ったセルフレジやセルフサービスなどを取り入れる実店舗が増えたなか、ブルーミングデールズの新店舗ではテクノロジーを駆使しながらも、コロナ禍で消費者がなかなか求められなかった1対1のカスタマーサービスに重きをおき、百貨店との差別化をはかっているのです。
まとめ
パンデミックの影響でより深刻になった百貨店業界とショッピングモールの経営不振。それを抜け出すために、ブルーミングデールズを含めた百貨店が、ショッピングモールから独立し、小さな規模の実店舗をだす動きが見られます。
今回お話ししたブルーミングデールズの新しい実店舗は、従来の百貨店のコンセプトとは異なり、お客様が簡単に自分の欲しい商品が見つかるように厳選されたセレクションを提供するとともに、高い頻度でセレクションを変えて、お客様が定期的に訪問したくなるような工夫がされています。
コロナ禍でオンラインショッピングの便利さに慣れてしまった消費者が増えたなか、このように、一対一のカスタマーサービスが体験できるなどの利点を保ちながらも、スピーディーにショッピングができるコンセプトをもった実店舗が多くなると予測されています。今後もポストコロナの百貨店や小売店のトレンドから目が離せませんね。
参照元:
[i] https://www.retaildive.com/news/is-bloomies-the-future-of-department-stores/606645/
プロジェクトのご相談やご依頼につきましては、以下のフォームに必須項目をご入力ください。
24時間以内に回答いたします。