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世界の越境EC市場の市場規模は2021年で約86兆円。経済産業省のレポート(令和4年度)によると、2030年には10倍にもなると予想されています。しかし、越境ECを立ち上げても、言語や文化の違いから集客や売上につながらないケースもあります。この記事では、売上を伸ばすための越境EC集客の基本を詳しく解説します。
越境ECの集客方法の種類とポイント
どんなウェブサイトも、立ち上げてからが本当のスタートです。ECサイトであれば、いくら時間とお金をかけて立派なウェブサイトを立ち上げたとしても、ユーザーに来てもらい、商品を購入してもらえないと意味がありません。
特に越境ECにおいては、日本から遥か遠くの地で生活するユーザーがターゲットになるため、集客でつまづくケースが多いのも事実です。現地の生活習慣や文化、トレンドに合った集客施策を戦略的に行っていかないと、売上はもちろん、ブランドの認知度もまったく上がらないまま終わることになりかねません。
ここでは、越境ECにおける集客方法の種類とそれぞれのポイントについて解説していきます。ビジネスや商品のタイプ、ターゲットとなる国の特性などによって、集客方法の向き不向きだけでなく、集客方法ごとに立てるべき戦略も変わってきますので、注意してください。
広告
越境ECの集客を始めるにあたって、まず検討を避けられないのが広告です。コストはかかりますが、効果が出るのが早いというメリットがあります。越境ECの場合、現地では認知度ゼロから始まることになるので、多くの人に短期的に認知度を上げるための投資と考えて、積極的に活用を検討しましょう。
広告を行う際は、何を目的として行うのかを明確にすることも重要です。商品にもよりますが、認知度がない中ですぐに購入してもらうことは難しいため、まずは認知度向上を目的とした広告を行い、状況を見ながら徐々に購入を目的としたものを並行していくような運用が望ましいでしょう。目的が曖昧であったり、タイミングを見誤ったりしてしまうと、コストに見合った成果が得られないため、注意深くプランを検討する必要があります。
例えば現地で認知度がなく、Googleなどでの検索ボリュームもない日本の商品を展開する場合は、まずInstagramやFacebookなどのSNS広告で認知度を獲得するところから始め、ある程度の認知度と検索ボリュームが得られたタイミングでリスティング広告や商品リスト広告を追加する、というようなフェーズわけが考えられます。
また、ターゲットとなる国やユーザーに合った媒体を選ぶことも非常に重要です。各媒体のシェア、利用ユーザーの年齢層や性別比などが日本と異なるため、まずはその辺りを正しく把握し、扱う商品や目的に合ったものを選ぶようにしましょう。
SNS
SNSは、海外でも日本と同様、ユーザーの情報検索や商品の購入検討時における口コミのプラットフォームとして利用されていることから、越境ECの集客チャネルとして非常に重要です。
広告と同様、国ごとに各SNSプラットフォームのシェアや利用ユーザー層が異なるため、正しい理解と選択が必要です。例えばBtoB系の商品を扱う場合、日本ではX(旧Twitter)などがよく利用されますが、米国の場合はビジネス特化型SNSであるLinkdInのシェアが非常に高いため、優先するSNSプラットフォームを米国市場にあわせて再検討する必要があります。
SEO
越境ECであっても、中長期的にビジネスを成長させていくためにはSEO対策が欠かせません。広告のように効果をすぐに得ることは難しいですが、一時的で終わらない資産蓄積型の施策である点が最大のメリットです。
SEO対策の本質的な考え方は日本と変わらないですが、国ごとの言語やプラットフォームの違いは十分に把握しておく必要があります。例えば中国の場合、そもそもGoogleが使えないということがあるため、プラットフォーム独自の特徴を知るところから始める必要があります。
言語の違いについては、現地で実際に使われている検索ワードの組み合わせやボリュームを把握し、競合との差別化ポイントを模索しながら、ターゲット戦略を立てるという点においては、日本国内の場合と同じプロセスと言えるかもしれません。しかし、それ以上に重要なことは、サイトコンテンツのクオリティです。テキストが日本語からの機械翻訳であったり、それに近い不自然な表現が含まれていたりすると、たとえターゲットとなるキーワードを多く含んでいても、検索エンジンから評価されないことは認識しておくべきでしょう。
インフルエンサーPR
SNSと同様、現地のインフルエンサーを活用した集客は非常に効果的です。特に広告を嫌う傾向が強いと言われる若い世代がターゲットになる場合は、人気インフルエンサーが紹介するだけで一気に認知や購入につながることがあります。
ただし、自社の商品やブランドに合ったインフルエンサーを現地で見つけて交渉する必要があり、また近年は料金が高額になるケースも多いため、他の集客施策と比べて実施の難易度は高いと言えます。現地のインフルエンサーに精通したエージェンシーの活用などを検討しましょう。
メディアPR
現地で認知度や権威のあるメディアに、自社の商品やブランドを取材して配信してもらうことは、一気に認知度や信頼を獲得できる可能性のある、非常に有効な集客施策です。
ただし、こちらもインフルエンサーと同様、実施の難易度は高いです。そもそもメディアとのコネクションが必要であり、さらに現地のプロの目で、取材する価値があると思われるような魅力やストーリーがないと、相手にもしてもらえません。プレスリリースを書いて配信サービスを利用するという安易なやり方ではうまくいきません。こちらも実施を検討したい場合は、現地のメディアとパイプや実績のあるエージェンシーに相談してみましょう。
現地イベントへの参加
現地でリアル開催される展示会やイベントへの参加を通して、現地のユーザーに直接商品を届けることも有効です。その場で商品を試してもらったり、チラシを配ったりなど、地道な活動ではありますが、越境ECの初期フェーズにおいては効果的な施策です。
その場での認知や売上の獲得だけでなく、現地のユーザーの実際のリアクションや感想に生で触れられることに、何より価値があると言えます。得られたフィードバックによる戦略の見直しだけでなく、ユーザーが喜ぶ姿を見ることで、自身のモチベーションアップにも繋がるでしょう。
ECモールへの出店
すでに集客のある現地のECモールへの出店は、そのまま集客施策につながると言えます。ただし、他の多くの商品やブランドと一緒に並ぶことになるため、出店するだけだと埋もれてしまいかねません。ECモール独自の商品掲載ロジックを把握して試行錯誤を繰り返したり、ECモール内の広告を活用したりしながら、露出を高めていく必要があります。
越境ECの集客から売上を伸ばすためのポイント
ここまで集客方法について紹介してきましたが、集客するだけでは売上にはなかなかつながりません。ここからは、集客から売上を伸ばすためのポイントを解説します。
データ分析
ECサイトの売上は、「訪問数(集客)×購入率(CVR)×客単価」という方程式で計算できます。このうち、客単価は扱う商品に依存することが多いため、まずは訪問数と購入率に注目して、各データを見ていくことが重要です。
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訪問数(集客)のポイント
訪問数を見る場合は、集客チャネルごとの数値の推移を定点観測しましょう。何か施策を行った際には、前後でどのような変化があったか、もしくは変化がなかったかを正しく評価し、施策の振り返りを行い、次につなげることが大切です。
また、Google Analytics(GA)など越境EC側の分析ツールで見ることができるのは、あくまで各集客施策の結果としてサイトに訪問してきた数です。流入元となる広告側やSNS側のクリエイティブや配信タイミングの評価は、各プラットフォーム側の分析ツール上でないとできないため、あわせて見ていく必要がある点に注意してください。GAの数値だけで判断すると、傾向や課題を見誤ってしまう危険性があります。
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購入率(CVR)のポイント
ECサイトの購入率は、商品の種類にもよりますが、平均して2~3%と言われています。あくまで参考値にはなりますが、もし自社の購入率がこれを下回っている場合は、ひとまずこの数値を目標にして考えてみると良いかもしれません。
GAなどを使い、サイトに訪問してきたユーザーがどのタイミングで離脱しているのか、カゴ落ちはどれくらい発生しているのかといったデータを分析しながら、サイトの課題を見つけましょう。課題が見つかったら、対策を検討して実行し、またデータを分析して評価する、というプロセスの繰り返しが、売上拡大への最も確実な近道なのです。
また、購入率を集客チャネルごとに見てみることも重要です。チャネルによってかなり差が出ているケースも多いためです。たとえば、売上を目的としたキャンペーン広告からの訪問者の購入率が著しく悪い場合は、広告の出し方を見直した方が良いかもしれません。
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集客施策を正しく評価するために
各集客施策が売上にどれくらい貢献しているかを評価したい場合に、単純に集客チャネルごとの購入数や売上だけを見るのは危険です。たとえば、広告によってInstagramのフォロワー数を多く獲得できたとしても、直接売上にはつながりません。しかし、認知度の獲得やサイトへの訪問数の底上げにはなるため、中長期的には売上の拡大につながっていく可能性があります。短期的な売上への貢献だけで見てしまうと、誤った判断につながってしまいます。
おすすめは、集客チャネルごとの訪問数、各SNSのフォロワー数、広告配信数、サイトのセッション、売上などの推移を、1つのグラフにまとめた1枚絵を作成して、全体を俯瞰するような見方です。これにより、各施策やプラットフォームの数値の相関関係を掴んだり、予測を立てたりすることができるようになります。データを正しく見るためには、グラフの作り方が重要になってくるのです。
運用体制
ここまで解説してきたように、越境ECには様々な集客方法があり、またそれらを売上につなげるためには、正しくデータを分析しつつ、改善を繰り返し行っていく必要があります。そしてそれぞれを個別に評価せず、俯瞰しながら統合的に戦略を見直していくことが求められます。
多くの専門分野が存在し、自社だけで対応することは難しいため、分野によっては適切なパートナーを選び、活用していくことになると思います。しかし、各分野の担当やパートナーがどれだけ優秀であっても、繰り返しになりますが、統合的に見ていくことが重要です。すべての情報を、運用の中心となるオーナーやマネージャーに集約し、統合的に見ていくことができる運用体制を構築し、それを維持できるかが、越境EC成功の鍵と言えます。
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