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米国マーケティングトレンド研究会 2025.08.01

商品開発部必見!アメリカ食品市場で日本のフレーバーを人気にする秘訣

昨今アメリカの食品業界で注目を集めている味覚トレンドのひとつに、「Swicy(スウィーシー)」があります。これは「Sweet(甘い)」と「Spicy(辛い)」を組み合わせた新感覚フレーバーで、Z世代やミレニアル世代を中心に爆発的な人気を集めています。具体的な例では、ホットハニー(スパイシーな蜂蜜)やヤンニョムチキン、スパイシーチョコレートなどがこのカテゴリーに属します。

以前のブログ記事「2025年夏のアメリカの最新フレーバートレンド!注目の新フレーバーが続々登場」でもご紹介しましたが、Swicyは今、アメリカのスーパーやレストランで次々と商品化されており、若い世代を中心に支持が拡大しています。なんとコカコーラもSPICED(辛い)フレーバーを出して話題になりました。[1]その影響は日本にも波及しており、今年6月には日本のスターバックスでも初めての「本当に辛い」ドリンク、『ホットハニー オリエンタル マンゴー & ティー フラペチーノ®』が登場し、話題になりました。[2] しかし日本国内ではSwicyが主流トレンドになる兆しはまだ見えません。なぜ、同じ味覚トレンドでもアメリカでは受け入れられ、日本では浸透しにくいのでしょうか?

本記事では、両国の「味覚」や「食体験」の背景にある文化的価値観の違いに注目しながら、Swicyの未来と可能性を探っていきたいと思います!

「新感覚の甘辛フレーバーswicy」の イメージ画

アメリカ:味の「強さ」と「インパクト」を求める市場

アメリカでは、味覚に対するアプローチが「インパクト重視」です!辛いなら激辛、甘いなら激甘、しょっぱいならガツンと塩気、といったように“濃い”味や強い体験が好まれます。そのため、「甘い×辛い」といったコントラストの強い味の組み合わせは、特に若年層にとって「刺激的で楽しい」体験としてポジティブに受け入れられやすいのではないでしょうか。

また、Swicyももちろんですが、そもそもスパイシーなフレーバーが流行しているというのも背景にあります。多民族国家であるアメリカでは、メキシコ料理、韓国料理、インド料理など、もともと辛味文化が強い食スタイルに慣れている消費者層が一定数おり、そこにスイーツやスナック的なアプローチで甘味をかけ合わせることで、Swicyのような新しいジャンルが受け入れられる下地が整っていたのだと考えられます。

日本:「繊細な味」と「バランス感覚」を重視する文化

一方、日本の食文化では「繊細な味わい」や「余韻を楽しむ」といった要素が重要視されます。日本料理の味わいとして最も重要な出汁や、和食の基本でもある「うまみ」のように[3] 味の奥行きや調和を重んじる傾向が強く、Swicyのような味の衝突的なコンビネーションは、「味が濃すぎる」「まとまりがない」と感じられてしまうことがあります。

また、辛味自体に対する抵抗感も影響しています。日本でも辛いものが好きな層は一定数いますが、全体的には「ピリ辛」程度が好まれ、激辛文化はニッチ市場にとどまっているのが現状です。

そのため、日本ではSwicyのようなフレーバーが本格的にトレンドとなるためには、「辛さのレベル調整」や「和素材との融合」といったローカライズ戦略が不可欠となるでしょう。

日本の味をアメリカでヒットさせる!海外市場で成功するためのポイント

ローカライズのヒントは“アクセント”と“ストーリー性”

今回のSwicyトレンドから見えるのは、アメリカ市場で成功する味には、「驚き」や「刺激」が求められるということです。単なる美味しさだけでなく、味にエンタメ性や話題性が求められる市場といえます。そしてそれがSNSで体験として広がっていくのが理想的です。

この観点で、日本独自の味をアメリカに広げていくには、いくつかの工夫が必要です。たとえば、ゆず胡椒、山椒、きなこ、甘酒、白味噌など、日本ならではの繊細な味も、アメリカ市場ではそのままだと「味が弱い」と感じられることがあります。

ですが、それらをアクセントとして使う、またはストーリーとセットで伝えることで、「新しさ」「ユニークさ」として評価される可能性が高まります。また、日本では「絶対にない組み合わせ」もアメリカでは受け入れられることが多くあるので、これに関しては日本人だけで考えるのではなく、販売したい地域の現地の方々の率直な意見を吸い上げることも重要です。

例:

  • 抹茶×チリ=和風Swicy
  • ゆず胡椒×蜂蜜=和風ホットハニー
  • 白味噌×キャラメル=発酵×スイーツの新感覚提案

さらに重要なのはストーリーテリングです。例えば「日本の伝統的な発酵食品を、アメリカで人気の“甘辛”トレンドに融合」「京都で長く続く伝統的な味を、今のZ世代向けに再解釈」といった背景のある商品設計は、アメリカの消費者に「買いたくなる理由」を与えるのではないでしょうか。

味覚の違いをチャンスに変える!アメリカ市場で差別化する

日本企業にとって、アメリカ市場の味覚ギャップは決してネガティブなものではありません。むしろ、差別化のチャンスととらえるべきです。

アメリカ市場では今、さまざまな食文化がミックスされ、「今までにない組み合わせ」への好奇心が高まっています!そこに、日本独自の味や製法、ストーリーを掛け合わせることで、“次のSwicy”を生み出すポテンシャルがあるのです。

まとめ

アメリカでSwicyが流行した背景を読み解くと、単に味のブームではなく、食における文化的価値観の違いが見えてきます。「アメリカでは“インパクトが強くて新しい味”、日本では“繊細でバランスの取れた味”が求められる」。この違いを理解したうえで、日本の味をローカライズし、現地のトレンドや文脈に合わせて再構成することが、海外展開成功のカギとなるのです。Ys and Partnersでは今後も、アメリカ市場のリアルなトレンドと、日本企業が海外で成功するためのヒントをお届けできたらと思います!ぜひご注目ください!

ワイズアンドパートナーズでは、2002年から「日本のブランドを世界で有名にする」を使命に、日米双方から主に食品企業のマーケティングを統合的に支援しています。アメリカ市場向けの消費者調査からブランディング、デジタルマーケティングの施策運用まで、気になるサービスがございましたら、お気軽にお問い合わせください。


参照元

  1. 'Swicy' is the hottest trend in food fight now
  2. 辛フラペチーノ® 登場!『ホットハニー オリエンタル マンゴー & ティー フラペチーノ®』
  3. 日本人の味覚と嗜好

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