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インバウンド観光の流れは止まることなく、2017年3月時点の訪日観光客数は約220万6千人と、昨年の同時期(201万人)より9.8%の伸び率を記録しています。特に米国はイースター休暇が4月に時期を移動したため、12.6%増の13万900人となり、単月として過去最高を記録しています。
では、北米からの訪日観光客は何を目的に日本を訪れるのでしょうか?
前回のブログでは、YouTubeコンテンツから見えるインバウンドのニーズを読み解いていきました。地方でもインバウンド観光のチャンスはあることを紹介しましたが、今回は訪日観光客から高い支持を得ている体験プログラムに焦点を当て、訪日観光客のさらなるインサイトを考察していきます。
日本の精神性を求めて
和歌山県・高野山での宿坊体験
和歌山県高野山での宿坊体験は近年外国人観光客から高い支持を得ています。高野山宿坊協会によると、高野山内には113の寺院と52の宿坊があり、宿坊に泊まった外国人は平成25年で約1万9000人でしたが、28年には約5万6000人に増加したといい、さらに多くは欧米からの訪問客だったとのことです。増加の理由として、ミシュランで三ツ星を獲得した他、アメリカのナショナル・ジオグラフィック誌に「絶対見逃せない世界の名所20選」に日本で唯一選ばれたことなどが挙げられます。
では、何が観光客の心を掴んだのでしょうか。それは西洋人にとって神秘的に感じられる日本の「精神性」の体感です。大阪から約1時間半、浮世離れした高野山の雰囲気が、そこでしか味わえないと、旅行サイトやソーシャルメディアを通じて話題になっています。また、高野山に来る外国人の大半は、日本の生活文化体験を求めてやってくる欧米人で、宿坊に泊まることで、高野山の歴史・文化に触れると共に日本文化体験そのものになっています。畳の部屋、美しい襖絵、歴史を感じる調度品や精進料理によるおもてなしなど、いずれもホテルでは経験できないものを、高野山で体験しています。
スポーツで日本の自然を体感
広島県尾道市~愛媛県今治市を結ぶ「しまなみ海道サイクリング」
「しまなみ海道サイクリング」は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ海道で、日本で唯一の海峡を横断する自転車道です。今、ここでサイクリングを楽しむ外国人が増えています。
世界のサイクリストから注目されるようになったのは、米CNNがトラベル情報サイトで「世界7大サイクリングロード」と紹介したほか、フランスミシュランから一つ星を与えられたためです。海に囲まれ、走りながら四季折々の自然を満喫できることから、世界中のサイクリストがしまなみに集まってきています。
また、自治体もコースづくりや大会開催に注力、旅行会社と手を組んでイベント情報を世界に発信しています。沿線の各地区にある15か所のレンタサイクルターミナルでは、気軽に自転車を借りることができ、乗り捨ても自由。サイクリング推奨ルートを示すブルーラインを全線に塗布するなど環境を整備してきました。
「サイクルオアシス」と呼ばれる休憩所では、小売店やガソリンスタンド、喫茶店、農家民宿などが、空気入れの貸出、給水、トイレの利用、観光マップの提供などを行って、世界各地のサイクリストをもてなしています。
しまなみ海道を訪れた外国人観光客は27万459人で、過去最多だった前年の21万4045人から26.4%増と大きく更新。19年の2万679人の13倍以上、26年の13万1646人からでも倍以上に急増し、アメリカ人観光客は全体3位の2万3486人が訪れました。
何気ない日常を体験
農村体験ツアー「Tour du Lac Biwa(ツールドラック)」
滋賀県は琵琶湖付近の雄大な自然、棚田、古民家、鮒ずしなどの日本の田舎の暮らしを体験できる場所として人気が高まっています。
ビーエスシー・インターナショナルが行っている「Tour du Lac Biwa(ツールドラックビワ)」は、『湖郷の人々の日々のくらし』をテーマに、自然豊かな琵琶湖の景観を楽しみつつ、日本の田舎の暮らしを体験する外国人向けツアーです。
築200年の古民家で手作りランチを楽しむ体験や、新鮮な野菜やお米を振舞ってくれる農家さん訪問ツアーなど、「田舎の農園生活と料理の体験ツアー」「琵琶湖周辺でのアクティビティツアー」「芸術、文化に触れるツアー」の3種類を提供。さらにその3種類のテーマが3種類のツアーに別れており、湖畔を自転車で巡り料理を一緒に作るもの、餅つきの体験が出来るもの、日の出をカヤックで楽しむもの、着物の着付けと写真撮影、鬼瓦の職人の作業を間近で見ることができるものなど、多彩な日本文化にふれることができる充実のツアーを合計で9種類提供しています。古きよき日本の暮らし方を体験できると銘打ち、トリップアドバイザーのレビューで高い評価を得るなど注目されているツアーです。
3つのツアーの共通点
いずれも日本でしかできない特別な体験ができる、それが前述した3つのツアーの共通点と言えるのではないでしょうか。高野山では、日本のスピリットを感じながら宿泊体験ができ、しまなみ海道サイクリングでは、日本の風景を堪能しながらサイクリング。農村体験ツアーは、何気ない日本の風景を味わいながら、伝統的な暮らしの体験ができるなど、日本に来ないと経験できないことをアピールし、注目を集めているのです。
ただ著名な観光地に行くだけでなく、 特別な体験を求めて日本各地に探索に出かける。特に、日本への旅行回数が2回以上になると、ゴールデンルート以外の旅行先を選び、その土地でしかできないこと、日本の伝統を感じられる場所や体験を求める傾向が強くなります。
この傾向から、何もないから観光客が訪れないのではなく、ないはないなりにどうアピールしていくか、がポイントとなっていることがわかります。つまり、集客を考える際に、しっかりと観光客のインサイトを理解することこそが、 戦略を練っていく上で必要不可欠なプロセスなのです。
あなたの土地で、地域の特色を生かした 「体験型観光」の戦略コンセプトをつくり、インバウンド観光の成功事例をつくりましょう。
アメリカでビジネスを成功させる
Ys and Partnersは、2002年から「日本のブランドを世界で有名にする」というミッションをもち、日本から北米
に進出する企業を、日米3拠点から支援してきました。
また、北米から日本を訪れる観光客の集客面について、鉄道関係、ホテル、レストラン、ECショップにコンサル
ティングをを行なっています。
ブランド戦略構築をはじめ、消費者調査設計、ウエブ制作、広告制作、ソーシャルメディア運用、ビデオコンテンツ制
作まで、ワンストップでサポートしています。
参考記事
トラベルボイス 【図解】訪日外国人数、2017年3月は9.8%増の220万人、米国が13万人で単月最高に(速報)
産経ニュース 「私だけ」訪日体験プランが外国人客に大受け
JTB総合研究所 インバウンド 訪日外国人動向
読売オンライン 訪日外国人ツアー密着 農家と触れ合い満喫
自転車新聞 尾道への昨年の観光客 外国人とサイクリング客が過去最多を更新
観光経済新聞 【データ】和歌山県、2016年の外国人宿泊者数が過去最高
JB PRESS 欧米観光客が高野山に殺到中、今や僧侶も12人
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