SNSマーケティングで見落としがちな、ユーザーのデバイス環境

ターゲットを理解することは、「成功するマーケティング」の鍵ですが、その中でも「ユーザーが利用しているデバイスの種類」まで理解していますか？ アメリカの最新技術トレンドを探ると、あの大手SNSがなぜ、どのような失敗をしたのかが見えてきます。成功するSNSマーケティングの基盤を形成するために重要なこととは…?

ユーザーへの理解がマーケティング成功への道を築く？

ターゲットのユーザーを理解することは、成功するマーケティングキャンペーンの鍵です。

その中でも、彼らが使用している技術の種類まで理解することは非常に重要です。大手のテック企業でも、時折、視聴者の持つ技術環境に最適化されていないアプリや製品をリリースし、それが大々的に批判されることがあります。視聴者と彼らの技術的な”便利さ”を考慮に入れることで、成功するSNSマーケティングキャンペーンの基盤を形成することができます。

マーケティング戦略の見落とされる要素

ターゲットユーザーに関する研究は、メディア戦略の最も重要な部分です。対象者を深く理解することで、彼らの習慣を予測し、彼らのニーズを予測することができます。この知識を活用して、自然でスムーズな方法で彼らとつながる機会を作ることができます。

多くのマーケターは、顧客が興味を持つトピックで繋がることに必死です。どのような製品に興味があるのか？ 自分達の製品で楽しませられるようなニッチな興味はあるのか？ 顧客とそれ以外の人々との間に文化的な違いはあるのだろうか？

しかし、顧客に関する重要な研究の中で最も重要な要因の一つである、「彼らが使用しているデバイスは何か」ということがしばしば忘れられています。

このような「ターゲット顧客が使用している技術」は、彼らに関する最も基本的な情報ですが、マーケティング戦略においては最も重要なものの一つとなることがあります。

現在のアメリカの技術利用とトレンドの理解

ターゲットとするユーザーについて集める情報の中で、利用可能な技術や好まれるインターネットアクセスの方法は、最も興味がそそられる情報とは思えないかもしれません。

「SNSへのアクセスにデスクトップかモバイルデバイスのどちらを好むかどうかは、どうでもいいこと。彼らがソーシャルメディアを使用することさえ好むのであれば、どちらも同じでは？」

それぞれサイトは、アクセスに使用されるデバイスの種類(デスクトップ or モバイルデバイス)によって異なる機能と外観を持ちます。スマートフォンが初めて人気を集めたとき、ユーザーの大きな不満の一つは、デスクトップコンピューターではうまく機能するウェブサイトが、モバイルデバイスでは実質的に使用できないということでしたが、これは年々変化し、徐々に多くの企業がモバイルデバイスで使用するために設計されたアプリケーションを開発していきました。

現在、多くの人々は、デスクトップコンピューターよりも、モバイルデバイスを同じくらい、あるいはそれ以上に使用しています。2022年の調査では、インターネットのトラフィックの60%がモバイルデバイスから来ていることがわかりました。これは2021年の55%から増加しています。

アメリカ人は徐々に携帯電話での時間を増やしており、とあるデータによれば、彼らはすでに平均して1日に携帯電話で最大5時間を過ごしていると言われています。

言い換えれば、あなたのオンライン戦略は、携帯電話のユーザーを念頭に置いて構築するべきです。あなたの視聴者がインターネットの時間の60%を携帯電話で過ごしているのであれば、その利点を最大限に活用するために、オンライン戦略を最適化する必要があるのです。

また、顧客が使用しているオペレーティングシステムの違いを理解することも重要です。アメリカ人は、AndroidやSONY、Samsungよりも、Apple製品やiOSを使用することを好む傾向があります。現在、米国のユーザーの約54%がiOS（Apple製品）を使用しており、45%がAndroidを使用しています。これらの違いは、アプリもしくはウェブサイトの機能を設計する際に、非常に重要です。

なぜならそれぞれのオペレーティングシステムによって異なる制約に直面する可能性があるためです。

主要なテック企業が、アプリケーションをリリースする際に、視聴者の技術面を考慮に入れなかった最近の例をいくつか見てみましょう。

事例①SnapchatがAndroidユーザーの信頼を失う

Snapchatは顧客それぞれが持つデバイスへの最適化で苦労していることで有名なソーシャルメディア企業のひとつです。創業以来、SnapchatはアプリをiOSで使用するように最適化してきました。これはAppleがiOSに搭載できるカメラや仕様に非常に厳しい制限を設けていることが一因となっていますが、このような制限があるため、その機能をフルに使えるアプリをコーディングしやすくもなっています。

Androidは、さまざまな種類のデバイスで実行できるソフトウェアです。彼らはiPhoneのソフトウェアとは異なるカメラの仕様、異なるハードウェア、異なる機能を持っています。このため、iPhoneと比べてAndroid用のSnapchatを最適化するのは難しく、これにより、iOSでのSnapchatの使用は問題ないが、AndroidでのSnapchatは使い物にならないという公然とした認識が生まれてしまいました。

2018年、Snapchatは、これらの機能の問題のせいで、四半期ごとに200万人以上のユーザーを失っています。Android版のアプリの修正とアップデートを数年続けた後、2021年になってようやく、AppleユーザーよりもAndroidユーザーの方が多くなりました。これは、アメリカ国外での利用が拡大したことも一因であり、この成長を維持するために、彼らは再びAndroid向けアプリの最適化に注力するようになりました。

事例②デスクトップサイトがないThreadsの苦労

コンテンツ戦略には、ユーザーがどのデバイスを1番使用しているかを常に考慮する必要があります。ユーザーの大半がデスクトップでコンテンツにアクセスする場合、大きな画面に最適化するべきです。ユーザーの大半がモバイルデバイスを使用する場合、より短く、小さな画面でうまく機能するコンテンツを作成しなければいけません。

考えるべきもう一つのことは、視聴者がコンテンツにアクセスするタイミングと場所です。たとえば、彼らが平日の昼間にアクセスしたい場合、モバイルよりもデスクトップを使用する可能性が高いと言えます。この時間帯には、ほとんどの人が仕事をしているからです。オフィスで携帯電話を使用することは当然ですが、それと同時にトラブルの原因となる可能性があります。そのため、多くの人はデスクトップパソコンで仕事の合間にこっそりインターネット検索を行っています。

これが、Metaの新しいX（Twitter）の競合であるThreadsが、新規ユーザーの勢いを維持するのに苦労している理由の一つです。ダイレクトメッセージのようないくつかの基本的な機能が欠けているだけでなく、Xと違ってThreadsにはデスクトップでアクセスできる機能的なサイトがないことにユーザーは不満を抱いています。そのため、日中にこのプラットフォームをチェックするのは、かなりの時間をスマホで過ごすユーザーでなければ難しいです。

Threadsのようなサイトにはスマホでアクセスしたい人が多いでしょうが、デスクトップ版があることで、より幅広いユーザーがもっとアクセスできるようになります。さらに、デスクトップのプラットフォームがあれば、企業側からもユーザーデータの追跡がしやすくなります。

テクノロジー能力の理解とマーケティング戦略成功の鍵

SNS広告やキャンペーン、その他の戦略に投資を始める前に、ターゲットとするユーザーのテクノロジー能力を知っておくことが重要であり、これらの基本的な要素を最初から考慮に入れることで、失敗の可能性を大幅に減らすことができます。ワイズアンドパートナーズは、日米双方から企業のソーシャルメディア・マーケティングの支援を行っています。まずは弊社のサービスページをご覧いただき、お気軽にお問い合わせください。