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米国マーケティングトレンド研究会 2021.11.17

2022年の小売トレンド:Walmartが導入予定のチャットコマース(会話型コマース)

ウォルマートは、チャットコマース(会話型コマース)サービスをより充実させようと投資を続けており、手間なく便利に買い物ができるText-to-shopというサービスの試験をしています。チャットコマースとは、顧客一人一人にあった形で買い物をすることができるもので、2022年のトレンドになると予測されています。また、米国では低賃金が原因で人手不足になっていますが、その対策としてチャットコマースへの投資を進める企業も増えるかもしれません。

はじめに:2022年の小売りトレンドとして期待が集まるチャットコマース

新型コロナの拡大により、人と接することなく買い物をしたいというニーズが生まれました。多くの店舗では、店頭でのピックアップサービスや、オンラインで注文して直接配送するサービスが始まりました。パンデミックは終息しつつありますが、ショッピングにおける技術革新は続いており、2022年には「チャットコマース」が流行するとみられています。

そもそも、チャットコマースとは?

チャットコマースは、音声コマースとも呼ばれており、音声コマンドやテキストメッセージで買い物ができる仕組みです。対面やオンラインでの通常のショッピングとは異なり、手間なく簡単に買い物ができることが特徴です。スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスから注文することができ、たとえばKLMオランダ航空のように、WhatsApp(チャットアプリ)でチャットコマースを利用し、飛行機の予約や変更を行うことができるサービスもあります 。[1]

ウェブサイトのチャットボットでやりとりをしたり、スマートデバイスから音声コマンドで注文したりしたことがある人は、既にチャットコマースを経験している、ということになります。

ウォルマートはチャットコマースサービスを実施しているのか?

ウォルマートのような小売大手も、こういった技術をどんどん取り入れようとしています。

ウォルマートは、Google アシスタントを通じてチャットコマースのサービスを導入しています。Google製品を使っていれば、Googleアシスタントを使って買い物リストに商品を追加することができます。この機能は「Walmart Voice Order」と呼ばれています。[2]

このサービスを拡大するために、ウォルマートは最近、ボットモックというスタートアップ企業を買収しました。ボットモック社は、少なくとも2016年からチャットコマースに関する技術開発に取り組んでおり、既に数多くの技術を有しています。[3]

ウォルマートが始めようとしている最新のサービスは、Walmart Text-to-Shopと呼ばれています。顧客はテキストを使って、商品をショッピングカートに入れることができます。現在このサービスを利用できるのは一部のAndroidユーザーだけですが、今後Appleユーザーにも拡大される予定です。このサービスを利用するにはWalmartのアカウントが必要ですが、他に何かをダウンロードする必要はありません。[4] このサービスは、ベータテストを経て、早期に本格提供される予定です。

Text-to-Shopサービスは、ユーザーが買いたい商品をテキストでウォルマートに送ると、カートの中身を確認したり、決済したり、受け取り時間を指定したりすることができる、というものです。[5]

ウォルマートが目指すのは、どこにいても買い物ができるという姿です。次に何を買うのか、思いついた都度覚えておくといった必要がなく、いつでも思いついた時にショッピングカートに入れておいて、次の機会にまとめて買うことができるのです。

結論:チャットコマースが2022年のトレンドになる理由は何か?

2030年、Eコマースに占めるチャットコマースの割合は、最大で30%にも達すると予測されています。[6]

チャットコマースの最大の魅力は、より個々人に合った形で買い物ができるようになる、という点です。チャットコマースでは、店員の対応を待ったり、店舗に足を運んだりする必要がなく、自分のデバイスを使って自分向けにパーソナライズされた形で買い物をすることができるのです。

パーソナライゼーションは、コロナパンデミックの前からのトレンドでした。しかし、ロックダウンとなり、Eコマースへの移行が急速に進む中で、こういったスタイルの買い物に対するニーズが増加しました。顧客一人一人のニーズに合わせた形で買い物ができるということが、世代を超えて求められているのです。[7]

2022年に米国でチャットコマースが普及すると思われるもう一つの理由は、労働力不足です。失業率はパンデミック前よりも少し高くなっていますが、仕事がないわけではありません。アメリカの労働者の多くは、低賃金であることに不満を持ち、給料が安く、自分を大切に扱ってもらえない仕事を拒否しているのです。人手不足の問題を、チャットコマースのような自動化サービスで解決するという企業が出てくるのは、時代の要請とも言えます。[8]

結局のところ、チャットコマースの技術に使われているAIとは、顧客ひとりひとりが自分向けにカスタマイズされた買い物ができるようになるためのステップなのです。ウォルマートのような大手企業が成功すれば、こういった形でのショッピングは2022年以降、爆発的に普及する可能性を秘めています。


参照元:

[1] AI shop assistants get ready for a world where you can’t tell humans and chatbots apart

[2] How to voice shop at walmart using google assistant

[3] Walmart acquires design tool botmock as it’s invests in shopping by voice and text

[4] Texttoshop Walmart

[5] Walmart launches text shop beta test

[6] AI shop assistants: get ready for a world where you can’t tell humans and chatbots apart

[7] Could supply chain issues drive more in person retail

[8] Why no one can seem to hire workers anymore—and what workers are doing instead to pay the bills

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