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寿司、ラーメン、抹茶。
これらは今や、アメリカ市場において日本食品を代表する存在となりました。
実際、多くの日本企業にとって、「日本食はアメリカで受け入れられるのか?」という不安は、以前ほど大きなテーマではなくなりました。
いま問われているのは、その次の問いです。
「寿司・ラーメン・抹茶の次は何か?」
2026年6月、Ys and Partnersは米国在住のMain Grocery Shopper 308名を対象に、日本食品に関する独自調査を実施しました。
今回は、その結果から見えてきた「次の日本食品市場の可能性」について考察します。
1. 米国消費者は、次にどんな日本食品を求めているのか?
まず、米国消費者に対して、次の質問をしました。
Which THREE Japanese food and beverage products would you most like to see more often in the United States?
アメリカで、もっと見かけるようになってほしい日本食品・飲料は何ですか?
上位に入ったカテゴリーは以下の通りです。
| カテゴリー | 回答率 |
|---|---|
| Japanese Snacks | 45% |
| Japanese Cheesecake | 40% |
| Japanese Premium Fruits | 27% |
| Japanese Premium Rice | 27% |
| Japanese Sweet Potatoes | 21% |
| Onigiri | 19% |
最も高かったのは Japanese Snacks の45%。続いて Japanese Cheesecake が40%となりました。
さらに、日本の高級果実、日本米、さつまいも、おにぎりといったカテゴリーも上位に入っています。
ここで興味深いのは、これらのカテゴリーの多くが、寿司やラーメンほど広く知られているわけではないということです。
米国市場では、すでに知られている日本食品だけでなく、まだ認知が十分に高くないカテゴリーにも関心が広がり始めている可能性があります。
2. 日本食品は、新しいステージに入った
では、現在の日本食品の認知状況を見てみましょう。
| カテゴリー | 認知率 |
|---|---|
| Sushi | 89% |
| Ramen | 88% |
| Sake | 80% |
| Wagyu Beef | 70% |
| Matcha | 60% |
寿司やラーメンは、すでにアメリカ市場で確固たる地位を築いています。
抹茶もまた、単なる日本茶ではなく、一つのライフスタイルカテゴリーとして定着しつつあります。
つまり、日本食品がアメリカで受け入れられるかどうかを議論する段階は、すでに終わりつつあります。
今後、日本企業が考えるべきことは、次の問いです。
「どのカテゴリーが、次の成長機会になるのか?」
3. 最大の発見は「認知」と「将来需要」のギャップ
今回の調査で私たちが最も注目したのは、次の3つの関係です。
- 認知率(Awareness)
- 喫食経験(Trial)
- 将来需要(Future Demand)
通常、市場は次のように成長していきます。
認知 → 体験 → 需要
しかし今回の調査では、必ずしもその順番通りではありませんでした。
いくつかのカテゴリーでは、認知率や喫食経験がまだ低いにもかかわらず、「もっとアメリカで見たい」と回答する消費者が一定数存在していました。

特に興味深かったのは、複数のカテゴリーで「認知・喫食経験」と「将来需要」の間に大きなギャップが見られたことです。
| カテゴリー | 認知率 | 喫食経験 | 将来需要 |
|---|---|---|---|
| Japanese Cheesecake | 18% | 8% | 40% |
| Japanese Premium Fruits | 10% | 4% | 27% |
| Japanese Premium Rice | 19% | 13% | 27% |
| Japanese Sweet Potatoes | 21% | 10% | 21% |
これらのカテゴリーに共通しているのは、まだ十分に知られていない一方で、将来的な期待が確認されたことです。
これは、米国市場において新しい日本食品カテゴリーが成長する可能性を示唆しています。
4. なぜ、知られていないのに期待されるのか?
なぜ、まだ十分に知られていない日本食品カテゴリーに期待が集まるのでしょうか。
今回の調査結果を見ると、消費者は必ずしも個別の商品カテゴリーを詳しく理解しているわけではありません。
それにもかかわらず、新しい日本食品への関心は確かに存在しています。
私たちの仮説はシンプルです。
アメリカの消費者は、日本食品そのものを探しているというよりも、新しい食体験を探しているのです。
寿司、ラーメン、抹茶、和牛。
これらの成功によって、日本食品はすでに次のようなイメージを獲得しています。
- 高品質
- 本物
- ユニーク
- 健康的
- プレミアム
その結果、商品を詳しく知らなくても、「日本のものなら、一度試してみたい」という期待が生まれている可能性があります。
5. The Japan Halo Effect
私たちはこの現象を、The Japan Halo Effect と呼んでいます。
寿司やラーメン、抹茶や和牛が長年かけて築いてきた信頼が、まだ十分に知られていないカテゴリーにも波及している可能性があるからです。
消費者は、必ずしも商品を理解しているから興味を持つのではありません。
日本というブランドそのものが、期待や好奇心を生み出している可能性があります。
今回の調査で見られた日本の高級果実や日本米への関心は、その一例と考えられます。
日本食品の次の成長機会は、単に「商品を売る」ことではなく、すでに形成された日本ブランドへの信頼を、新しいカテゴリーの体験価値へと変換できるかどうかにあります。

6. 次の成長候補カテゴリー
今回の調査で見えてきたのは、単一の商品カテゴリーではなく、複数の日本食品カテゴリーに共通する成長の兆候でした。
ここでは、特に注目したいカテゴリーをいくつか取り上げます。
6-1. Japanese Premium Fruits
Japanese Premium Fruits は、今回の調査で特に興味深いカテゴリーの一つでした。
認知率は10%。喫食経験は4%。
しかし、27%が「もっとアメリカで見たい」と回答しています。
さらに、訪日経験者との比較では、明確な違いも見られました。
| 指標 | 訪日経験あり | 訪日経験なし |
|---|---|---|
| 認知率 | 37% | 7% |
| 喫食経験 | 23% | 2% |
| 将来需要 | 20% | 27% |
訪日経験者は、日本の高級果実を知っている割合も、実際に食べたことがある割合も高くなっています。
一方で、訪日経験のない消費者であっても、日本の高級果実に対する期待は決して低くありません。
これは、日本旅行が高級果実への理解を深める一方で、日本というブランドそのものが未体験者の期待を生み出している可能性を示しています。
6-2. Japanese Premium Rice
Japanese Premium Rice も興味深い結果となりました。
認知率19%、喫食経験13%に対し、27%が「もっとアメリカで見たい」と回答しています。
米は成熟したカテゴリーと思われがちです。
しかし近年、ワインやコーヒーと同様に、食品に対して次のような価値を求める消費者が増えています。
- どこで作られたのか
- 誰が作ったのか
- なぜ特別なのか
- どのように楽しむべきなのか
日本米も、単なる主食ではなく、産地や品質、ストーリーを伴うプレミアムカテゴリーとして成長する可能性があります。
なお、私たちが接しているシェフやバイヤーなどのプロフェッショナル市場では、すでに少し違う議論も始まっています。
一般消費者市場では、まだ「日本のものを試してみたい」という期待が広がる段階にあります。
一方、すでに目利きが存在するB2B市場では、「日本の中で何を選ぶか」という段階に進みつつあります。
実際に、あるミシュラン星付きレストランのシェフから、
「Koshihikariであれば何でもよいのではなく、その中でも最高品質のものが欲しい。」
という相談を受けたことがあります。
これは今回の消費者調査の結果そのものを説明するものではありません。
しかし、日本食品市場の先端では、単に「日本産」であることだけではなく、産地、品質、生産者、ストーリーまで含めて評価され始めていることを示す一例です。
6-3. Japanese Cheesecake と Japanese Sweet Potatoes
Japanese Cheesecake と Japanese Sweet Potatoes も、認知率や喫食経験を上回る将来需要を示しました。
重要なのは、特定の商品カテゴリーだけを取り上げることではありません。
今回の調査が示しているのは、アメリカの消費者が新しい日本食品カテゴリーに対して、一定の好奇心を持っているということです。
その好奇心を実際の購買行動につなげるためには、単に商品を並べるだけでは不十分です。
必要なのは、次のようなマーケティングです。
- どのような味なのかを伝える
- どのように食べるのかを示す
- なぜ日本らしい価値があるのかを説明する
- どこで買えるのかを明確にする
- 体験したくなるストーリーをつくる

7. 日本企業への示唆
今回の調査から見えてきたことは、単純に「この商品が売れる」という話ではありません。
むしろ重要なのは、米国市場における日本食品の位置づけが変わりつつあるということです。
かつて日本食品は、説明が必要な「エスニック食品」でした。
しかし現在は、寿司、ラーメン、抹茶、和牛などの成功によって、一定の信頼と期待を持たれるカテゴリーになっています。
その信頼は、新しい日本食品カテゴリーにも波及し始めている可能性があります。
だからこそ、日本企業にとって重要なのは、単に商品を輸出することではありません。
日本食品への期待を、具体的な商品体験へと変換すること。
これが、次の米国市場戦略の鍵になると考えています。
日本企業は、認知度が十分に高まるまで待つ必要はありません。むしろ、日本ブランド全体への期待が存在する今こそ、新しいカテゴリーを育てる視点が重要になります。
8. YSAP Insight
今回の調査で見えてきたのは、米国の一般消費者市場において、「日本のものを試してみたい」という期待が広がりつつあることです。
特に、日本の高級果実や日本米のように、まだ十分に認知されていないカテゴリーであっても、一定の将来需要が確認されました。
これは、寿司、ラーメン、抹茶、和牛などが長年かけて築いてきた日本食品への信頼が、新しいカテゴリーにも波及し始めている可能性を示しています。
一方で、その期待は自動的に購買へつながるわけではありません。
新しい日本食品カテゴリーを米国市場で育てるには、認知、体験、理解、購入導線を丁寧につくる必要があります。
そのためには、単なる広告や流通だけではなく、消費者の期待を読み解き、ブランドの意味を設計し、体験として伝えていくことが重要です。
そこに、米国市場における日本ブランドの次の成長機会があると考えています。
米国市場展開をご検討の方へ
Ys and Partnersでは、日本企業の米国市場展開に向けた市場調査、ブランド戦略、マーケティング戦略、デジタル施策、コンテンツ開発を支援しています。
米国市場における自社商品の可能性を知りたい方、次の成長カテゴリーを見極めたい方は、まずはサービス内容をご覧ください。
具体的なご相談やプロジェクトのご相談がある場合は、こちらよりお問い合わせください。
FAQ
Q1. 米国で今後期待される日本食品カテゴリーは何ですか?
今回の調査では、Japanese Snacks、Japanese Cheesecake、Japanese Premium Fruits、Japanese Premium Rice、Japanese Sweet Potatoes、Onigiri などが上位に入りました。特に、認知率や喫食経験がまだ低いカテゴリーでも、将来需要が確認された点が注目されます。
Q2. なぜ認知率が低くても期待されるのでしょうか?
寿司、ラーメン、抹茶、和牛などが築いてきた日本食品への信頼が、新しいカテゴリーへの関心につながっている可能性があります。私たちはこの現象を The Japan Halo Effect と呼んでいます。
Q3. この調査はどのような調査ですか?
2026年6月に、Ys and Partnersが米国在住のMain Grocery Shopper 308名を対象に実施したオンライン調査です。日本食品に対する認知度、喫食経験、将来需要、購入障壁、情報ニーズなどを分析しました。
About This Research
本記事は、2026年6月にYs and Partnersが米国在住のMain Grocery Shopper 308名を対象に実施したオンライン調査に基づいています。
調査では、日本食品に対する認知度、喫食経験、将来需要、購入障壁、情報ニーズなどを分析し、米国市場における日本食品カテゴリーの成長可能性を探りました。
本記事に掲載している数値は未加重集計(Unweighted)による参考値です。
なお、本調査は米国市場の傾向を把握し、今後のマーケティング戦略や仮説構築に役立てることを目的とした探索的調査です。各カテゴリーの市場規模や将来需要を断定するものではありません。
Editor’s Note
YSAP Insightでは、米国市場に関する独自調査や現場で得られた知見をもとに、日本企業の海外展開に役立つインサイトを発信しています。
本記事はその第一弾として、2026年6月に実施した米国消費者調査をもとに作成しました。
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“米国マーケティングトレンド研究会”
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