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みなさんは外食するときに、さまざまなレストランに複数の予約を入れ、当日にどこで食事をするか選び、他のレストランはギリギリでキャンセルしたり連絡をしないで行かなかったりすることはありますか?アメリカでは、これが問題となっているため、多くのレストランでキャンセル料が発生するのがあたりまえになっています。アメリカ人の予約文化とそれに対するレストランの対策を知ることで、日本のレストランも訪日観光客にどのように対応するべきか、を考え、準備しておくのが良さそうです。
レストランはネットでの予約が主流
多くの日本人にとって、アメリカでその食文化に触れることはユニークな体験です。ただし、そこには日本の文化や慣習とは違うルールが存在します。有名なところだと、チップの高さ、常にテーブルを訪れる店員、ドリンクのおかわり自由などがありますね。実はこれらのことよりも、あまり語られることのない特徴があります。それは「予約文化」です。
アメリカでのレストラン予約は、他の多くの国と同じように簡単で便利です。インターネットが普及する以前は、電話をして予約をしていましたが、現在では、お客様が簡単に予約をすることができるオンライン対応があたりまえになってきています。
そしてオンラインの普及により予約が容易になっているため、気軽に予約し、気軽にキャンセルされてしまうようになったのかもしれません。この傾向は、高級レストランも同様です。
複数のレストランを同時に予約するアメリカ人
アメリカでは、同日同時刻に複数のレストランを予約し、さらにその予約を維持することを、あたりまえのように行います。例えば、誰かの誕生日やデートなど、特別な日のために素敵なレストラン体験を計画することは、特に、主賓がどこのレストランで食事をしたいのか分からない場合、かなり大変な調整になるため、企画する側の人にとっては、複数のレストランを同時に予約し、当日の食事場所を選べるようにすることも珍しくありません。その結果、多くのレストランでは、当日にキャンセルされるか、あるいはキャンセルの連絡もないまま、客が現れないということが起きてしまうのです。
そして残念なことに、このようなことが、レストランやそのビジネスにどのような影響を与えるか、全く理解されていないのです。なぜなら、アメリカでは、レストランはどんなニーズにも応えてくれるという期待があり、料理の手直しを頼んだり、特別な便宜を図ってもらったりするのが普通であるのと同じような感覚で、予約の取り消しについても、ほとんど問題なく行われると思っているからだと考えられます。ある調査によると、アメリカでは予約をした人のうち、少なくとも28%がキャンセルしているそうです。つまり、4件に1件以上はキャンセル待ちということになります。
レストランが受けているダメージ
レストランを経営するのは簡単なことではありません。ある晩に利益を上げるには、何人の顧客が来るか、どれだけ注文するか、そして既にある食材の在庫をいかに無駄にしないかを正しく予測することが重要です。ある調査によると、40席のレストランでは、一晩にわずか6回の予約の不参加で、一晩の利益を失うことがあるそうです[1]。
さらに、アメリカではテーブルがなくなるということは、サーバーがサービスを提供するお客様の数が減るということであり、チップの減少を意味します。つまり、お客様が来なければ、十分な賃金を得ることができないのです。このような環境では、スタッフの離職率が高くなり、ゲストに一貫した食事体験を提供することができなくなる可能性があります。
3つの対応策
高級レストランでは、キャンセルや無断キャンセルがあった場合、厳しい料金を設定することで、この慣習に対抗することにしています。キャンセル料やノーショーチャージを徹底して、来訪しない予約客を出さないように工夫していることがほとんどです。ここでは直前のキャンセルを防ぐために行っている予約ポリシーの変更について紹介します。
直前キャンセルにはキャンセル料が発生
レストランによっては、予約の3日前〜1日前までのキャンセルで、キャンセル料が発生します。これらの料金は通常一人当たりで計算され、一人当たり50ドルから最も高級なレストランでは225ドルまでと幅があります[2]。
前金制にする
レストラン業界にとっては少し珍しい手法として、食事代金を先に支払ってもらう前金制があります。予約の際に、食事を選んでもらい、全額を支払ってもらうのです。一見するとハードルが高く感じられますが、事前に選ぶメニューの魅力や期間限定の料理を提供など、ゲストにユニークな食体験を提供しようとするレストランであれば、この戦略を採用し、成功させることが可能だと言えます[3]。
予約時にデポジット(預かり金)を徴収する
多くのアメリカの高級レストランでは、予約の際にクレジットカード情報を預かり、キャンセルした場合にはノーショーチャージを請求しています。予約時に一人当たりのデポジットを取り、来店をより確実なものにするのです。なお、ここで徴収したお金は、お客様が到着したときに返金するか、食事が終わったときに請求書から差し引くかを選ぶことができるようになっています。
まとめ:日本のレストランが考えるべきこと
上記の方法はすべて、様々な高級レストランで使用され、成功の度合いも様々です。ただ、アメリカでもキャンセル料、ノーショーチャージ、デポジットなどは、一般的な価格のレストランでは普及しているとは言えません。よってもし、これらの料金を追加することを検討している場合、あなたのレストランや提供されるものの品質への期待が飛躍的に高まる、ということは大いにあり得ることです。その期待を裏切らないサービスの提供が重要となります。
また、注意しなければならないのは、実際に手数料を請求されるとショックを受けて怒る客もいるということです。ニューヨークタイムズの料理評論家ピート・ウェルズ氏が、レストランのオーナーやシェフにノーショーチャージのポリシーについてインタビューしたところ、無断でこない予約客よりも、彼らにチャージを課すことを恐れていることが判明しました。ノーショー・チャージを取ることで、そのレストランに二度と来たくないと思わせる可能性があるからです[4]。また怒った客が、Yelp等に悪いレビューを投稿してしまうこともあるでしょう。
とはいえ、現段階では、明確なキャンセル・ポリシーを顧客に伝えることが、予約の放棄を思いとどまらせる最良の方法です。何らかの手数料を請求する場合は、そのことに怒った客が現れても、怯えずしっかり説明し対応できるよう、スタッフの教育を徹底することが重要となっています。
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参照元
- https://www.opentable.com/blog/no-show-numbers/
- https://thepricehike.com/post/16180926779/here-are-the-cancellation-fees-for-new-yorks
- https://www.businessinsider.com/americas-fanciest-restaurants-want-you-to-pay-before-you-eat-2014-12
- https://www.businessinsider.com/restaurant-cancellation-fees-dont-exist-2015-6
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