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コロナ禍で香水カテゴリーの成績が落ち込んでいるなか、ECサイト上で売上げを伸ばしている「Glossier(グロッシアー)」の香水がいま話題になっています。その背景には、ECサイトの商品レビューが深く関係していました。
米国で大人気の美容ブランド「Glossier(グロッシアー)」とは?
グロッシアーは2014年にデビューしたブランドです。ブランドの創業者エミリー・ワイスが2010年に始めた美容ブログ「Into The Gloss(イントゥ・ザ・グロス)」が人気を集めたのをきっかけに、いまではECサイトを中心にスキンケア商品からコスメ商品、香水などを販売しています。
コロナ禍でも売上げが伸びた「グロッシアー」の香水。
そんなグロッシアーが2017年から販売している香水「Glossier You(グロッシアーユー)」が、コロナ禍でもECサイト上で売上げを伸ばしていることがいま話題になっています。
香水といえば、コロナの影響で成績が落ち込んでいる美容業界のひとつです。コロナ禍で次々と美容ブランドが実店舗からオンラインストアにシフトしていったなか、実際に顧客に「匂い」をかがせることで販売促進してきた香水ブランドにとって、デジタル上のメッセージだけで商品の「匂い」をアピールすることは至難の業でした。その結果、2020年の香水カテゴリーの売上げは8%まで減少しました1。
コロナの影響でたくさんの香水ブランドが苦労しているなか、グロッシアーの香水「グロッシアーユー」は、2017年から毎年、前年度にくらべ10%以上の成長をみせています2。それだけでなく、2020年には、ブランドが販売しているなかで最も購入された商品トップ5のひとつに入りました。
どうやって「グロッシアー」はECサイト上で香水を売ることに成功したのか?
2020年7月にグロッシアーが自社香水の購入者750名にサーベイをとったところ、25%のひとが「香水を実際に試さずに買った」と回答、そして40%のひとが「初めてグロッシアーの商品を購入した。そしてそれが香水だった」と答えています。
では、なぜコロナ禍にECサイトのみで販売していたにも関わらず、グロッシアーはこれほどの新しい顧客に自社の香水をアピールすることができたのでしょうか。その理由のひとつが商品レビューです。現在、グロッシアーのECサイト(Glossier.com)にある「グロッシアーユー」のレビューは2500件以上あり、平均で4.5星の高評価を獲得しています。
また、通常の美容ブランドの商品ページでは、商品説明と写真が一番上にきて、それから原材料、使い方、関連商品などが続き、最後に商品レビューが表示される場合が多いですが、グロッシアーの商品ページの場合、写真横の商品説明と「Add to Bag(カートにいれる)」ボタンのすぐしたに商品レビューが表示されています。そのため、スクロールをすることなく、自然と商品レビューが顧客の目に留まる仕組みになっているのです。
(Glossy.comから:「Glossier You」商品ページ)
グロッシアーが行ったカスタマーサーベイでは、グロッシアーの商品を買ったときの一番の決め手になったのが「ECサイト上での商品レビュー」だと答えているひとが一番多く、「グロッシアーユー」の購入者に関しても、「香水サンプル」と回答しているひとにつづき2番目に多かったことから、商品レビューの重要さがわかります。
「グロッシアー」で学んだ、美容ブランドを支えるコミュニティーの大切さ。
グロッシアーのECサイトにいくと、「グロッシアーユー」に限らず、ほとんどの商品にたくさんのレビューがついています。これについてグロッシアーの創業者兼CEOによると、購入者に商品レビューを依頼する自動メールは送っているが、レビューを書いたひとにインセンティブをあげるなどといった特別なことはしていない、と言っています。
それにも関わらず、グロッシアーの商品レビューがのびる理由は、グロッシアーが長年創りあげたコミュニティーの強さだと考えられるでしょう。
もともとグロッシアーは、創業者が美容ブログ「イントゥ・ザ・グロス」を書いているうちに「読者のリアルな声を反映させたリアルライフのスキンケア・コスメを作りたい!」と思い立ち創設されたブランドです。そのため、昔からブログで定期的に読者に質問を投げかけては、そこから得られた意見を参考にして商品開発を行ってきました。
一番有名な例がグロッシアーのベストセラー「Milky Jelly Cleanser(ミルキージェリークレンサー」です。この商品は、当初ブランドの創業者自身がブログで「あなたの理想なフェイスウォッシュとはなに?」と読者に呼びかけ、集まった400件のコメントをもとにつくられました。現在では3000件以上のレビューと平均4.3星の高評価を得ています。
このようにファンたちの意見を商品開発に取り入れることで、ブランドから新しい商品が生まれるたびに、ファンたちは「自分のためにつくられた商品」だと愛着を感じることができ、その商品をサポートするために商品の購入をしたり、レビューを残したりするのです。
まとめ
ECサイトの商品レビューを集めるのはけっして簡単なことではありません。長期戦にはなりますが、グロッシアーのように、ブランドを支えてくれているコミュニティーとのコミュニケーションを積極的に行い、深い関係を築くことがなによりも大事になってくるでしょう。
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