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Japandiスタイルは、日本の美意識とアメリカ人の北欧家具を好む思いが融合したものです。わび・さび(侘び寂び)の要素や「ヒュッゲ」と呼ばれる北欧のコンセプトを取り入れたこのインテリアデザインのトレンドは、2024年の一般的なアメリカの消費者の欲求を非常に良く反映しています。
Japandi(ジャパンディ)スタイルのインテリアデザインとは?
Japandiは、JapanとScandiの2つの言葉から成り立っています。Scandiは「スカンジナビアンスタイル」の略語です。「Japandi」のGoogle検索では、このような画像が検索結果に表示されます。
ご覧の通り、これらには共通の特徴がいくつかあります。まず、メインの色は非常に控えめな茶色、白、グレーです。これらの色は目立たず、心を落ち着かせるような印象を与えます。
Japandiスタイルは、日本のインテリアデザインのトレンドと北欧デザインのトレンドが掛け合わされています。北欧+和モダンなインテリアのスタイルです。
日本と北欧は地理的には非常に離れていますし、それぞれ独自の魅力的な文化を持っていますが、デザインの感性は驚くほど調和しています。日本と北欧のデザインはいずれも、ミニマリズム、機能性、清潔さ、自然を重視します。共通する重要なポイントは、生活空間を整える際に生まれる創造性を失わずに、できるだけストレスのない空間を作ることです。Japandiは、日本のわび・さびの要素と北欧のヒュッゲのコンセプトが融合しているのです。
その結果Japandiスタイルは、伝統的な和室に見られるように、家具があまり多くなくても、自然素材を用いた家具や照明によって自然の美しさを楽しめるインテリアデザインとなっています。
ヒュッゲ(Hygge)とは?
ヒュッゲとは、最近では特に自己啓発に興味を持つ若い世代の人々や、自己啓発関連の商品などで用いられている、北欧のコンセプトです。2016年にはThe New York Times紙に「ヒュッゲ元年、デンマーク人のくつろぎへの執着」という記事が掲載されました。
ヒュッゲは、生活の中で小さな幸せを大切にすることで、居心地の良さや満足感を感じるという概念です。高価な贅沢品を買うよりも、くつろぎやすく、住みやすい空間にするための装飾やものに重点を置いています。例えば、冬に暖かい紅茶を飲みながら快適なパジャマを着て過ごす光景は、ヒュッゲを感じさせます。ヒュッゲはまた、最新のテクノロジーや流行の家具を持つことよりも、生活の中での感謝と小さな喜びを味わうことでもあります。
ヒュッゲと、わび・さびの関係
これらの二つの概念は異なるものですが、いくつかの共通点があります。
たとえば、わび・さびは、自然な色調と使い込まれた感のある見た目を重視します。「使い込まれたものの不完全さは、生活空間に独自性と美しさをもたらす」と評価します。ヒュッゲは、すでに所有しているものの中に良さを見つけることを重視しています。少し傷がついたソファや他の場所では汚く見えるかもしれない流木のインテリアの中にも、心地よさを見出します。
両方のコンセプトは、余分な資源や労働から成るものや不必要なものを入れず、本当に必要なものだけに絞り込むことを重視しています。わび・さびは物事をそのまま受け入れることであり、ヒュッゲは既に存在するものの中にシンプルな喜びを見つけることです。完全性は取り入れず、自然な物や日常生活の一部となっているものが重要であるとされています。
日本人と北欧の人々は、地球上の最悪な自然災害に対処する方法を学んできました。両文化は、コントロールできないものとの調和の中で生活することの大切さを痛感しています。このようにして、生活の中の欠点に美しさと快適さを見出すことで、不完全性に価値を感じることを学びました〔1〕。
なぜJapandiスタイルが今人気なのか?
Google Trendsによると、Japandiスタイルに対する関心は過去数年間で徐々に高まっていて、2021年1月に急速に人気を集めました。以下に、なぜJapandiスタイルが今、一般的なアメリカの消費者に響くのか、2つの要因を説明します。
若い世代のサステナビリティへの関心
ミレニアル世代やZ世代は、X世代やベビーブーマー世代よりも課題意識の高い消費者であることがよく知られています。これらの世代には、ソーシャルメディアで共有するコンテンツを探し続けることが好きな人々がいます。そのため、新しくエキサイティングなものを持つというプレッシャーもありますが、可能な限り責任を持って行動するというプレッシャーも同時に感じています。〔2〕
特にミレニアル世代は、新品よりも中古品を重視する複数の大きなトレンドを生み出しました。2010年代初頭、ミレニアル世代の間で「ヒップスター」カルチャーが流行し、エリートのファッションと比べて安くシックな服装をセレクトするためにリサイクルショップでの買い物が中心となりました。実際、このような買い物は非常に人気があり、2013年に最も流行した曲はMacklemoreとRyan Lewisのアンダーグラウンドラップシングル「Thrift Shop(リサイクルショップ)」という曲でした。これは、自分たちの行動をよりサスティナブルなものにしたいという願望と質素倹約を目指す気持ちが反映されています。〔3〕
また、ミレニアル世代は中古の家具のファンです。サスティナブルな行動を超えて、彼らは古い家具を「ビンテージ」であり「スタイリッシュ」であると考える傾向があります。フォーブスの記事によると、これがミレニアル世代の61%が中古家具に興味を持っている理由です。
すでに少し古びたり、使用感がある家具は、この世代の人々には、より居心地の良く自然であると考えられています。新しい家具や新品のアイテムにはない、個性的な雰囲気があります。これがミレニアル世代にヒュッゲが非常に人気がある理由の一つであり、また彼らにJapandiの要素が共鳴する要因なっていると考えられます。
ストレスフリーな環境を重視する
Japandiスタイルは、ストレスフリーな環境の構築を促進します。自宅を快適さと自然とのつながりを感じる、天然素材を用いたもので飾ることにより、人はより平穏な気持ちを保てます。乱雑さや無駄を削ぎ落したシンプルさはミニマリズムにも表れており、心理的にも良いとされています。〔4〕
2021年1月、多くのアメリカ人が初めてコロナ禍のホリデーシーズンを経験しました。大切な人々と集まったり旅行したりせず、自宅にとどまり少人数で祝いました。いくつかの地域ではまだロックダウンが続いており、ほとんどの人が家で大部分の時間を過ごしていました。何か月も自宅に閉じ込められた後、シンプルに暮らすことを好む人が現れるのは不思議なことではありません。
パンデミックの恐怖の中、ストレスの軽減、自然美、機能性にフォーカスしたJapandiが人気となりトレンドとなったことは、ごく自然なことなのです。
結論
Japandiスタイルの人気の上昇は、過去2〜3年間のアメリカの一般的な消費者の心理を理解すると当然のように感じます。アメリカは現在、毎日新しい危機に直面している文化的に波乱の時期です。パンデミック、インフレーション、気候変動、政治問題、安全問題。日常生活への不満が、アメリカ人の心の中に広がっています。自然との調和を重んじて、既に所有しているものを大切にすること、そして乱雑さ取り除いたスタイルが望まれるようになったのは驚くことではありません。
Japandiスタイルのトレンドは、一般的なアメリカの消費者の心理を反映している、と見ることができます。彼らの最大の関心事は、現在の生活の中でのストレスを軽減することです。そのストレスをどのように軽減できるか、サスティナブルで自然を重んじる生き方につながるお手伝いができるか、ということにマーケティングやブランディングをフォーカスすることが、2024年に向けてアメリカの消費者とつながるための重要な要素です。
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