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米国マーケティングトレンド研究会 2021.05.27

欧米人の多くが、オリンピックを中止すべきだと考える理由とは?

4年に一度の夏季オリンピックは多くの人が楽しみにしていますが、今年は少し状況が違います。日本のワクチン接種の遅延状況、国際オリンピック委員会の開催国の状況を顧みない利益重視の姿勢、そして自国の選手の安全を考え、欧米諸国ではオリンピックを全面的に中止すべきだという意見が多くなっています。

東京オリンピックの開催日である7月23日が近づくにつれ、アメリカのニュースではオリンピックに関連する記事が増えてきました。贔屓の選手が出場する、しないといった話が多いのですが、中には開催に反対する意見もあります。

これはアメリカに限ったことではありません。アメリカだけではなく、欧米の多くの国や観客が同じ悩みを抱えています。

一般的な感覚1:オリンピック出場に価値がない。

欧米では、選手の安全はもちろん、日本国民の安全も心配されています。競技開始までにはほとんどの国民がワクチンを接種できないと思われるため、欧米の世論は中止に傾いています。

最近のカナダの世論調査では、大会の開催を望んでいるカナダ人は半数にも満たないという結果が出ています。ほとんどの人が中止を望んでいるか、どうすべきかわからないと回答しました。1

画像:大坂なおみ選手のような有名なアスリートでさえ、今年のオリンピック開催に懸念を抱いているとされています2

多くの観客がオリンピックについて懸念を示していますが、それは参加するアスリートたちも同様です。実際、参加を辞退する(もしくはオリンピック出場に心を動かされていない)選手も出てきています。

アメリカの陸上チームは、すでにオリンピック前の練習を中止しました。日本で行われる予定でしたが、新型コロナウィルスへの懸念から中止になりました。イギリスとロシアの選手も、千葉で予定されていた練習を中止しました。3

一般的な感覚2:日本はオリンピックまでに準備が完了できない。 

11,000人を超える国際的なアスリートたちが夏の東京に集結しますが、この事実に対する懸念が日々高まっています。世界各国がワクチン接種に向けて徐々に動き出している中、日本のワクチン接種のスローなペースが心配されているのです。この記事を書いている時点では、オリンピックまであと2ヶ月半ほどしかないのにもかかわらず、日本人の1%しかワクチンを接種していないのではないかと、多くの人が心配しています。アメリカ疾病管理センターによると、2020年12月からワクチンを配布しているアメリカでさえ、人口の約36%しかワクチン接種が完了していません4。これは約1億2千万人で、日本の総人口1億2千6百万人よりも少し少ない数となっています。

アメリカではここまでの接種に半年を要しているため、日本ではオリンピック開催までに総人口に対して十分な接種ができないのではないかと多くの人が心配しています。そうなると、多くの日本人が危険にさらされることになります。ワクチン接種は、選手が新型コロナウィルスに感染しないことを100%保証するものではありません。また、ウイルスを撒き散らす可能性がないとは言えないにも関わらず、日本に選手を招待することは無責任だという意見が多いのです。

一般的な感覚3:お金のことしか頭にない。 

今年のオリンピック開催に関する最後の大きな懸念は、国際オリンピック委員会(通称I.O.C.)に関するものです。政治学者のジュール・ボイコフ氏は最近、ニューヨーク・タイムズ紙に、今年のオリンピック開催に反対する理由を書いています。ボイコフ氏の主張は、オリンピックが開催される本当の理由は、I.O.C.の金儲けのためだけだというものです。

I.O.C.の資金のほとんどは、4年に1度の夏季大会の放送権によるものです。開催が中止になれば、ゲームの準備に費やした費用を回収する方法がないのです。さらに、将来的にオリンピックを開催ホストしようとする国はどんどん減っています。多くの都市は、新しい施設の建設費用や、多くの観光客への対応の手間、市民の生活を大会のために混乱させることを望んでいません。もしI.O.C.が日本にオリンピックの中止を認めれば、他の国に対して中止の前例を作ってしまうことになるため、怖れていると言われています。

過去にオリンピックが中止になったことは2回ありますが、いずれも世界大戦のためでした。それよりも小さな理由で中止することは、I.O.C.が世界に信じさせようとしている神話が崩れ、オリンピックが「必要不可欠」ではないことを示してしまうことになるでしょう。

つまり、I.O.C.には大会を中止しても「生き残れる」だけの資金はありますが、中止すれば今年だけでなく、将来的にも損失を被る可能性があるのです。ワクチンの接種が進んでいない国にとっては、ウィルスの超拡散イベントになりかねない東京大会を開催することで、I.O.C.が選手や開催国の国民を危険にさらそうとしているため、多くの欧米人はオリンピックへの開催に否定的な態度をとっています5

まとめ

オリンピックが開催されたとしても、それを見る人がいるかどうかはまた別問題です。アメリカの場合、オリンピックの視聴率は年々、確実に下がっています。これには2つの要因が考えられます。1つは、アメリカ人のオリンピックに対する興味が全体的に下がっていることで、放送各局の幹部の中でもこの理由を挙げる人もいます。2つ目は、ユーチューブのようなサイトのおかげで、放送局を通してオリンピックを見る必要がなくなったことです。テレビ放送を全部見なくても、ハイライト映像やその日のトレンド映像を簡単に見ることができます。6

誰もが望んでいるのは、選手と開催国の人々の安全です。このパンデミックの中で、皆で力を合わせて試合をすることは、人類にとって美しい瞬間です。しかし、それが人々を危険にさらすものであってはならないはずです。日本の政治家がどういう決断を下すのかはまだわかりませんが、国はオリンピックから得られる利益を優先させるのではなく、国民の健康と安全を第一に考えるのが務めだと私たちは考えます。


参照元:

[1] https://www.cbc.ca/sports/olympics/canadians-divided-sending-team-canada-athletes-to-tokyo-olympics-1.6028325

[2] https://www.philasun.com/sports/naomi-osaka-conflicted-over-holding-the-tokyo-olympics/   

[3] https://www.cbsnews.com/news/olympics-tokyo-2021-usa-track-field-cancels-training-camp-japan-covid/

[4] https://covid.cdc.gov/covid-data-tracker/#vaccinations

[5] https://www.nytimes.com/2021/05/11/opinion/cancel-olympics.html

[6] https://www.forbes.com/sites/jonathanberr/2018/02/20/what-the-decline-in-the-olympics-ratings-says-about-the-future-of-tv/?sh=2234683e63a5

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