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米国マーケティングトレンド研究会 2020.09.25

食料品のオンライン販売とウィズコロナ時代のダークストアの台頭

米国ではいま、オンラインショッピングにおける消費者の需要から、食料品業界を中心に、ダークストアが増加し始めています。ウィズコロナの時代、消費者の行動はどう変化するのか、そして企業はどう対応すべきなのか。実際にダークストアモデルを活用している米国企業の事例をご紹介します。

 

米国では数年前から食料品の食料品のオンラインストア/オンライン販売は存在していましたが、新型コロナウィルスやロックダウンの影響で、2020年には飛躍的ににその人気が高まっています。アマゾンのような企業の中には、より迅速に注文に対応し、市場競争力を上げるため、「ダークストア」を開設し始めています。ダークストアとは、オンライン注文専用として商品を保管しておくフルフィルメントセンターのことで、対面での買い物ができないことから「ダークストア」と呼ばれています。オンラインショッピングにおける消費者の需要から、ダークストアが増加し始めています。

ある研究では、消費者のオンラインショッピング体験に影響を与える要因を解明するため、食料品を受け取るまでの時間や受け取り方、サービスの最低注文条件、配送料の有無などに対する消費者の態度についてのデータ収集を行いました。この研究は米国50州のうち48州から900人の参加者を対象に実施されたもので、主に都市部からの参加者を対象としています。 本調査の結果、消費者の行動は、新型コロナウィルスの症例数がどの程度報告されているかに影響を受け、症例数が減少しているか、増加しているか、安定しているかによって消費の行動が変化することが示唆されました。新型コロナウィルスの状況によって、消費者が対面購買、オンライン購買のどちらを好むのかが変わっていくのです 1

米国で最初のロックダウンが発令された後、オンラインでの食料品購買の登録者数が急増しました。ある調査によると、登録数は1200%増加し、これらのサービスのモバイルアプリのダウンロード数も、2020年3月には300%増加したと報告されています2。新型コロナウィルス騒動前は、オンラインショッピングの市場シェアは3~4%と、それほど大きなものではありませんでしたが、パンデミックの影響で、その割合は2倍以上に増え、現在ではオンラインショッピングが市場シェアの10~15%を占めるようになっています。しかし、これは永久的なものではないと予測されており、専門家は、最初のブームが一段落すると、オンラインショッピングが市場シェアの5~6%程度になると予測しています3

現在、食料品のオンラインストアの選択肢にはInstacart(インスタカート)、Walmart Grocery(ウォルマートグロッサリー) 、Shipt(シップト) 、Amazon Fresh(アマゾンフレッシュ)といったものがありますが、それでもこのパンデミック下の急速なオンライン化の需要に追いついておらず、アマゾンは競争力をあげるため、アマゾンフレッシュでのホールフーズ・マーケット商品の受注能力強化を目的とし、ダークストアを開設しました。

アマゾンフレッシュは、Amazonプライム会員が利用できるサービスで、オンラインでの注文がスピーディに完了し、中には1時間以内に注文が完了して配達されるものもあります。このサービスには、オーガニックで健康的、高品質な食品や飲料を販売することで有名な米国の人気スーパー、ホールフーズ・マーケットの食料品が含まれています。アメリカの消費者がパンデミックの影響もあり、再び健康的な食生活を求めている今4、アマゾンフレッシュ内のホールフーズ・マーケットのラインナップは大きな魅力となっています。

この健康的な食品とスピーディな宅配への需要を喚起するため、2020年9月上旬、アマゾンは、ブルックリン(ニューヨーク市)にオンラインショッピングの注文のみを取り扱うホールフーズ(別名、ダークストア.・ホールフーズ)をオープンしました5。ホールフーズはちょうど今年の4月、ニューヨークの人々に向け、デリバリーの需要に対応するため、ブライアントパークの店舗を一時的に閉鎖すると発表していたため、アマゾンによるダークストア・ホールフーズの施策はうってつけのタイミングだったといえるでしょう。アマゾンはロサンゼルスにも一時的なダークストアをオープンさせています。当初、この店舗は2020年2月に通常店舗としてオープンする予定でしたが、ロックダウンの発令により、アマゾンはこの場所をどのように利用するかを再考し、最終的にダークストアとする決断をしました。

顧客のオンライン注文に対応するために、ダークストアモデルを活用しているのはアマゾンだけではありません。生活雑貨店のBed Bath & Beyond(ベッドバスアンドビヨンド)は、増加するオンライン注文に対応するため、店舗の25%をダークストアに変更する計画を立てています6

その他のチェーンストアは、パンデミック以前からダークストアの実施をテストしていますが、現在、パンデミックにより失われた収益を取り戻すため、テストから実践へと移っていく段階にあると言えます。

消費者の生活が「普通」に戻り、ウィルス感染の心配なく対面での買い物が可能になったとしても、ダークストアモデルは消費者と企業にとって「ニューノーマル」の一部として受け入れられていくに違いありません。

1 [PDF]Grocery Shopping Preferences during the COVID-19 Pandemic

2Study Reveals 1,200% Increase in Online Shopping Account Registrations Since Coronavirus Pandemic Began (www.foodlogistics.com)

3 As coronavirus pandemic pushes more grocery shoppers online, stores struggle to keep up with demand (www.cnbc.com)

4Coronavirus Impact on Food Behavior: Clean Label Eating on the Rise (www.quirks.com)

5 Take a look at Whole Foods Market’s first permanent online-only store (blog.aboutamazon.com)

6 Dark Stores Are The Future Of Post-Pandemic Retail (www.forbes.com/)

 

 

 

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