ブログ
日本酒の輸出の現状
日本酒が、実はアメリカで非常に好調なのをご存知ですか?残念ながら日本国内では1970年代から売り上げが降下しているのですが、日本酒の海外への輸出量は10年前の2014年には1,630万リットル、以降ほぼ倍増し、最新のデータによると、2024年に約4347億円の輸出額(前年比+6.4%)を記録。輸出数量は31,000キロリットル(前年比+5.8%)、輸出先国数は過去最高の80ヵ国。特にアメリカ向けの輸出は好調で、金額は前年比25.9%増の約114.4億円、数量は同23.1%増の8,003キロリットルとなり、いずれも過去最高を記録しました。 [1][2][3]
日本酒が海外で好調な理由としては、日本文化や和食の関心が、国際的に高まっていることが大きく貢献しています。加えて健康面でのベネフィットが多いためのようですが、最近ではその人気に伴い日本からの輸出のみならず、全米で日本酒造が続々とオープンをしています。北米酒造組合によると、現在、アメリカ、カナダ、メキシコには27のクラフト酒蔵があり、そのうちの10蔵が2020年以降に設立されており、成長のスピードが急加速していることが分かります。[4]
海外で日本酒の人気が高まる背景
1.和食文化の浸透
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことをきっかけに、和食全般への関心が高まりました。アメリカでも、「ヘルシー」「伝統的」といったイメージから、和食ブームが起こり、日本酒がその一部として自然に受け入れられています。特にカリフォルニアやニューヨークといった都市部では、和食レストランの増加が顕著です。和食レストランが増えることによって、日本酒の認知度も高まり、人気に火がつきました。ただ、Forbesの日本酒の記事に「Sake doesn’t belong only to Japanese restaurants anymore.(日本酒は、もはや日本料理店のものだけでは無い)」と記載してあるように、[2] 和食レストランから日本酒を知った方々が、今後和食レストラン以外でも日本酒を楽しむことが今後増えていくのではないか、と考えられます。
2.クラフト文化との親和性
アメリカの消費者はクラフトビールやワインといった手作り感のある飲料に親しんでおり、日本酒の「職人技」や「地域性」といった特徴は、こうした文化と強い親和性を持っています。前述したように、アメリカで醸造される「アメリカ産日本酒」も増えてきました。日本で作られる日本酒と比較するとまだ不安定ではあるかもしれませんが、アメリカでの蔵の数が増えていることから、アメリカでも日本酒はポテンシャルの高い商品だと言えます。
3.多様な味わいの魅力
甘口から辛口まで幅広い味わいを持つ日本酒は、和食だけでなくチーズやステーキなどの西洋料理とも相性が良いとされています。この多様性が、食事に合わせたペアリング飲料として、日本酒人気をより加速させたと考えられます。
また、多様さで言うと日本酒がグルテンフリーである点が評価されています。また、醸造過程で生まれるアミノ酸や酵母が健康に良いという研究結果が、アメリカの健康志向の消費者に注目されているようです。
日本産日本酒の課題と今後の展望
現在、日本酒輸出を後押しする動きとして、農林水産省やJETRO(日本貿易振興機構)による支援も活発化しています。
日本政府や関連機関は、日本酒の輸出拡大に向けた支援を行っています:
- JETRO(日本貿易振興機構):海外市場向けの販路開拓支や商談会の開催
- 農林水産省:日本酒の品質向上やブランド確立のための助成金制度
- 日本酒造組合中央会:海外展示会への参加支援や情報提供
また、今後、アメリカでの日本酒市場はさらに成長すると予想されます。特にZ世代やミレニアル世代をターゲットにしたSNSキャンペーンや、インフルエンサーとのコラボレーションなど、認知度が高まっているとは言え、いまだにどのように飲んだら良いのか、どのように楽しむのか分からない方も多くいますので、企業が丁寧に伝え、仕掛けていく必要があります。
アメリカ市場における日本酒の拡大は、単に輸出量の増加にとどまらず、日本文化全体への理解を深める重要な役割を果たしています。このトレンドを追い風に、より多くの人々に日本酒の魅力が届くことを期待したいところです。
ワイズアンドパートナーズでは、2002年から「日本のブランドを世界で有名にする」を使命に、日米双方から企業のマーケティング、ブランディングを統合的に支援しています。アメリカ市場向けのブランディングやトレンド調査など、まずはお気軽にご相談からでも可能です。気になるサービスがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
参照元
プロジェクトのご相談やご依頼につきましては、以下のフォームに必須項目をご入力ください。
24時間以内に回答いたします。
“米国マーケティングトレンド研究会”
最新の記事






U.S.

東京
