PRのビッグチャンス！？アメリカのスーパーボウル事情

アメリカンフットボールの人気を理解せずに、アメリカの文化は語れない、というほど、このスポーツはアメリカ国民にとって重要なものです。NFLが主催するスーパーボウルは、毎年1億人以上に視聴され、アメリカで最も視聴率の高いスポーツイベントとなっています。また、このイベントのコマーシャル枠は数百万ドルの価値があり、何ヶ月もかけて広告キャンペーンが行われるのです。今回はなぜこのビックイベントが人々の心を熱くするのか、そしてそこにはどんなビジネスチャンスが眠っているのか、考えてみましょう。

スーパーボウルはビッグイベント

バレンタインデーも大切なイベントですが、多くのアメリカ人にとって、2月といえば、最も重要なイベントは、実はスーパーボウルです。

スーパーボウルはNFL２つのカンファレンス、AFC、NFCを勝ち抜いたチームによる、そのシーズンのNFLチャンピオンを決する優勝決定戦であり、アメリカ最大のスポーツイベントです。毎年2月上旬の日曜日に行われることから、スーパーボウルサンデーとも呼ばれています。

アメリカンフットボール（アメフト）人気はいつから？

アメリカでは長い間、特に20世紀前半までは、野球が最も人気のあるスポーツでした。しかし、1970年代に入り、フットボール＝アメリカンフットボールが野球の人気を追い越して以降、現在までそれは変わっていません。

アメフトの人気が高まった理由はいくつかありますが、最も重要な2つの理由は、同じくらいのタイミングで、スーパーボウルが始まったことと、テレビを所有する家庭が増えたことにあると考えられます。実際、1967年の第1回スーパーボウルは、スタジアムこそ満員になりませんでしたが、自宅のテレビで6,500万人が観戦しています[1]。これは、当時テレビで放映されたイベントの中で最大の視聴率でした。

90年代に入ると、その人気はバスケットボールに移ります。マジック ジョンソンやラリー・バードそしてマイケル・ジョーダンといったスター選手が登場し、人々はその超人的なプレーに熱狂しました。しかし、90年代後半から2000年代前半に入ると、わがままな個人プレーでビッグマネーをつかむセレブプレーヤーが目立ち始めます。NBAが大規模なストライキの影響もあり、アメリカ人の生活における NBA の重要性は薄れスポーツファンの心が離れてしまったのかもしれません[2]。

その隙間を縫うように着々と人気を伸ばしたのがNFLです。高得点のゲームが生まれるようオフェンス寄りのルール変更をしたり、実在の選手で”仮想チーム”を編成し、その選手の実際のプレーに連動して楽しめるスポーツゲーム「ファンタジーフットボール」を構築したり、スポーツファンの心を掴む工夫を惜しみませんでした。
結果、2023年現在アメリカのテレビ史におけるイベント放送トップ10のうち、８つは過去10年のスーパーボウルがランクインするほど、注目を集めるスポーツとなったのです。

アメフトがアイデンティティになっている

実際、アメリカ以外でこのスポーツがフットボールではなく、“アメリカン”フットボールと呼ばれるほど、このスポーツはアメリカ人のアイデンティティにかなり深く根づいています。

例えば、ハイスクールを舞台にしたアメリカの映画において、“クラスの人気者やモテる男子はアメフト部に所属している”というシーンを観たことはありませんか？
現実でも、ハイスクールのフットボールプレーヤーは、スター扱いをされることがあります。特に小さな町では、地元で活躍するフットボール選手はかなり有名人で、学校に名誉、注目、そして資金をもたらすことがあるほどです。そして彼らは最終的に大学の選手になるためにスカウトされます。大学のアメフト部は、プロになる前の新しい選手が活躍する場として注目されています。

このように、フットボールは生涯にわたって身近にあるスポーツであり、その延長線上に、スーパーボウルを楽しむという習慣があるのです。

スーパーボウルを知るために重要な4つのポイント

アメリカでは、日ごろはアメフトを観ない人でも、スーパーボウルにチャンネルを合わせたり、友人や家族とパーティーをしたりするのが普通です。具体的にどのようにスーパーボウルを楽しんでいるのか、紹介しましょう。

1.ハーフタイムショー

スーパーボウルのハーフタイムショーは、この試合をこれほどまでにスペクタクルなものにしたイベントのひとつです。実際、アメフトが野球の人気を抜いたのは、このハーフタイムショーのおかげだという人もいるほどです。

ハーフタイムショーは年々大きくなり、今では登場するゲストは、今や音楽業界の大御所たちばかりとなりました。そしてこのパフォーマンスは、少なくとも数ヶ月間、アメリカのポップカルチャー界隈で語られることになります。特にネット上にはパフォーマンスに関する感想やアーティストへの意見等が溢れるので、エンタメトレンドを把握するという観点からも、見逃せない動きとなっています。

2.コマーシャル

スーパーボウルは一年で最もテレビ視聴されるため、その注目度と話題性の大きさから試合の合間に流れるコマーシャルも高額になっており、2022年は30秒の広告枠が約7億円といわれています[3]。流れるのは全てスーパーボウルのために制作された特別に豪華なCMであり、当日はもちろん、イベント終了後もテレビニュースで取り上げられたりSNSでパロディCMがつくられたりと、スーパーボウルを視聴しなかった人たちにも広がっていきます。

また、他のイベントとは異なり、スーパーボウルのCMは全米のあらゆる人種、政治的党派、経済層の人々が視聴するため、今のアメリカの主流派が何に関心を持っているかを理解するために最適な機会でもあるといえるでしょう。

3.スーパーボウル・パーティー

スーパーボウル当日は、男女問わず友人達と集まりパーティーをするのが一般的です。みんなで食べたり飲んだりしながらゲームを楽しみます。
並ぶ料理は前菜やクラッカー、チキンウィングのような手に取りやすいフィンガーフードが多くなっています。ハンバーガー、ホットドッグ、ステーキなども人気です。また、寒さが厳しくない地域では、バーベキューをする人もいます。他にもポテトチップスやポップコーン、そしてなんといってもビールが重要です。
この日は感謝祭に次いで2番目に多くの食料品が消費される日となっています。

4.ファンタジーフットボール

ファンタジーフットボールは参加費を払ってお金をかけ、勝てば賞金がもらえる、ブックメーカーのようなスポーツギャンブルです。アメリカではフットボールシーズンになると、スーパーボウルに出場するチームや、シーズン最多得点選手、MVPに選ばれる選手など、シーズン序盤から多くの人が賭けをします。スーパーボウルには特別なベッティングゲームやルールがあり、最終的なスコアからウイニングプレーまで、すべてを正確に予想すると、賞金を獲得することができるのです。

まとめ：スーパーボウルでアメリカの顧客にPRするために

アメリカにおける日本ブランドの魅力は、「日本製であること、日本人が作っていること」があげられます。アメリカの消費者は、日本の製品やブランドに敬意を払い、より質の高い食品イメージや体験ができると感じています。
もちろん、そのままの魅力を発信するのも良いのですがアメリカの文化や習慣に寄り添った見せ方で、特別なキャンペーンを実施してみるのはどうでしょうか。

例えばスーパーボウルの時期に、パーティー料理に使えそうなフィンガーフードレシピをソーシャルメディアにアップしたり、プレゼントキャンペーンを仕掛けたりするのも良いかもしれません。
スーパーボウルは、全米のさまざまな人が注目するイベントなので、規顧客を獲得するためのチャンスが眠っています。この重要なアメリカのイベントを理解することは、視聴者のニーズと欲求をよりよく理解することにつながるでしょう。

ワイズアンドパートナーズはInstagramビデオやポスト投稿を
企画・制作、公開まで、企業の皆さまのご要望に合わせてご支援しています。
詳細は是非お問合せください！