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米国マーケティングトレンド研究会 2020.02.10

ヴィーガンブームの火付け役?「ヴィーガニュアリー」活動とは

年が明けてから、アメリカのフードブロガーたちの投稿に見慣れない単語が並ぶようになりました。その単語とは“Veganuary(ヴィーガニュアリー)”。Vegan(=完全菜食主義者)とJanuary(=1月)を組み合わせた造語で、世界で最も大きなヴィーガンの運動として近年盛り上がりを見せています。

「ヴィーガン」と「ベジタリアン」。その違いをご存知ですか?

そもそもヴィーガンの正しい定義について、みなさんはご存知でしょうか。ヴィーガンと似た意味の言葉に「ベジタリアン」があります。一般的にはどちらも野菜しか食べない人、というイメージですが、厳密にはヴィーガンとベジタリアンは異なるのです。
ベジタリアンは肉類や魚類を取らない人々を指し、日本語では「菜食主義者」と翻訳されます。一方でヴィーガンは、肉類や魚類はもちろん、卵や乳製品など動物由来の食品を一切とらない、より厳格な菜食主義者を指します。そのため、ヴィーガンは別名ピュアベジタリアンとも呼ばれています。
ヴィーガンには、そのポリシー・動機づけの違いから、以下のような3つのタイプが存在します。
1) ダイエタリー・ヴィーガン(健康のため)
2) エシカル・ヴィーガン(動物愛護のため)
3) エンバイロメンタル・ヴィーガン(環境保護のため)
NPO法人 Veganuaryによれば、ヴィーガンの動機の割合は、「健康のため」が最も多く、ヴィーガン全体の46%を占め、「動物愛護のため」が34%、「環境保護のため」が12%、その他が8%となっています1
ダイエタリー・ヴィーガンの人は、動物性食品は健康に良くないという考えに基づいてヴィーガンを実践している人々です。エシカル・ヴィーガンは動物の権利を考え、動物性食品をとらないようにしています。ですから、彼らは食品にとどまらず、革製品や化粧品などでも動物性由来の製品は一切購入しません。そしてエンバイロメンタル・ヴィーガンは畜産業が多くの温室効果ガスの排出や森林伐採を行なっていることから、環境問題への意識からヴィーガンになった人々です。
このように一口にヴィーガンといっても、彼らの動機や考え方は様々なのです。

アメリカでのヴィーガンの人気はどれほどか

日本ではまだまだ身近な存在とは言えないヴィーガンですが、海外ではすでに一定の支持を得ています。
最近では、アメリカにおいて2014年に1%であったヴィーガン人口が、2017年には6%にまで急増したというデータが報告されています2。数にして、3年間でおよそ1,500万人増加しているということになります。
一方で、同年2017年に日本で行われた、ベジタリアン向けレストラン情報サイト”Vegewel”によるWebアンケート調査3の結果によれば、日本人でヴィーガンを実践していると回答した人は1%にとどまっています。
こうしたデータからも、日本とアメリカではヴィーガンの割合に大きなギャップがあるということがお分かりいただけると思います。


1 https://uk.veganuary.com/
2 Top Trends in Prepared Foods 2017
3日本のベジタリアン・ビーガン・フレキシタリアン人口調査 by Vegewel
https://vegewel.com/ja/style/vegetarianstatistics


Veganuaryの活動内容とは

ヴィーガンについての日米の違いを簡単にご説明しましたが、次はVeganuaryで実際にどのような活動が行われているのかをご紹介します。
Veganuaryは1月に1ヶ月間ヴィーガンを体験することを奨励しているキャンペーンです。「明日からヴィーガンになる」と思うと身構えてしまいそうですが、期間限定のVeganuaryであれば敷居は低く感じられるのではないでしょうか。その結果、より多くの人々にヴィーガンをアピールすることが可能になるのです。
2014年にはイギリスでNPO法人である”Veganuary”が設立されています。Veganuaryでは無料で参加者登録をすることができ、ヴィーガンレシピやショッピングガイドなど、ヴィーガンになるための秘訣が多数公開されています。

Veganuary 公式Webサイト
https://in.veganuary.com/

Veganuary公式Webサイト
公式Webサイトの発表によれば、現在までに178カ国から50万人以上の人々が参加しているそうです。こうした組織的な運動もあり、Veganuaryの認知度は年々向上しているのです。
先ほどご紹介したデータをみても、Veganuaryが設立された2014年以降、アメリカにおいてヴィーガンの数が3年間でおよそ1500万人も増えています。こうした数字からみても、Veganuaryの誕生はアメリカのヴィーガンブームの火付け役と言えるのではないでしょうか。
今後もしVeganuaryの活動が日本でも広まっていけば、ヴィーガン人口が一気に増えるかもしれません。
また、1月中は、フードブロガーをはじめとした多くのインフルエンサーたちが「#Veganuary」をつけた投稿を頻繁に行うので、消費者たちのヴィーガンに対する意識は非常に高まります。この時期に合わせてマーケティングを行うことで、店舗などでもヴィーガン商品のプロモーションがしやすくなるでしょう。

Instagramの投稿例

アメリカ進出を目指す企業にとって、ヴィーガンブームは押さえておくべきトレンド

日本のスーパーや飲食店では、まだ「ヴィーガン」の文字を目にする機会は少ないですが、アメリカではヴィーガンブームの広がりとともに、大手食品企業などが次々に新たなヴィーガンオプションを発表しています。
たとえば、アメリカの高級オーガニック食品スーパー「ホールフーズ」のCEOであるジョン・マッケイ氏はヴィーガンであることでも知られていますが、ホールフーズでは、ヴィーガンを特集するWebページも作成し、さまざまな商品を消費者に紹介しています。

Whole Foodsの「VEGAN」ページ
https://www.wholefoodsmarket.com/products/special-diet/vegan
Wholefoodsのvegan特集

また、日本でも人気のサーティーワンアイスクリーム(Baskin Robbins)は2019年、アメリカで「乳製品不使用のアイスクリーム」を発売しました。こちらはヴィーガンにも対応しているいうこともあり、記録的な大ヒットとなりました。

(画像は公式Twitterより)

31アイスクリームのvegan広告
このように、ヴィーガン人口が激増し、企業も対応を進めているアメリカ企業の現状を踏まえると、日本の食品業界の中でも、特にアメリカ事業に関連のある企業は、今後ヴィーガンへの対応を考慮していくことが必要になるかもしれません。
「Veganuary」、現在のヴィーガン運動の活発さを伝えるものであり、日本とは大きく異なるアメリカの食文化について理解を深めるきっかけにもなる活動です。
 


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