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一年を超えるコロナ禍において、アメリカではダルゴナコーヒーやティーボムなど、コーヒーや紅茶などを使ったドリンクのトレンドが続出しています。また、カフェのダインインが難しくなったことで、たくさんのひとが自宅でカフェドリンクを再現しようとティックトックやユーチューブを訪れています。今回は、この「ホームカフェトレンド」についてお話しします。
1)コロナ禍でホームカフェを楽しむひとが増加中
アメリカでは、2020年に初めて発令された緊急事態制限以来、スターバックスも含めた全てのカフェのダインインが禁止されてきました。こちらでは仕事や勉強をカフェでするひとたちが多いため、カフェのダインイン禁止は、ビジネスにとっても、また仕事場や勉強場としてカフェを使用しているひとたちにとっても大きな打撃でした。
多くのひとたちの仕事場や勉強場が自宅へと変わったことで、どうにか自宅でカフェを楽しみたいと思ったひとたちが訪れたのがティックトックやユーチューブです。ティックトックでは、「#HomeCafe(#ホームカフェ)」がついたカフェドリンクの作り方を紹介した動画の再生数が7億回を超え、ユーチューブでは「Home Cafe」や「Cafe Drinks(カフェドリンク)」と検索すると100万以上の再生数を数える関連動画がたくさんでてきます。
そんななか、ホームカフェトレンドの火付け役と言われている「Dalgona Coffee(ダルゴナコーヒー)」や「Tea Bombs(ティーボム)」が出てきたのも不思議ではありません。ホイップ状になったコーヒーを牛乳の上に載せているのがダルゴナコーヒーであり、キャンディーやホワイトチョコレートで作った球体のなかにティーバッグやティーリーフが埋め込まれているのが「Tea Bombs(ティーボム)」です。コーヒーや紅茶を使った見た目もかわいい、ユニークなカフェドリンクのレシピが、ティックトックやユーチューブに共有され、瞬く間に流行になりました。
2)このトレンドをいち早く取り入れたタピオカドリンク専門店:MILKBOX
このホームカフェトレンドをいち早く新しいビジネスモデルとして取り入れたのが、ロサンゼルスにあるタピオカドリンク専門店「MILKBOX(ミルクボックス)」です。ミルクボックスの店舗があるダウンタウン・ロサンゼルスは、ふだん多くの観光客や地元のひとたちで賑わっていましたが、昨年のコロナウイルスの緊急事態制限で客足が減り、多くの小売店が経営困難に陥りました。
岐路に立たされたミルクボックス着目したのが、ホームカフェトレンドでした。ミルクボックスは、外出自粛要請で店舗になかなか立ち寄れない顧客のために、タピオカドリンク専門店から初の試みとして、自宅でミルクボックスのタピオカドリンクを簡単に作れる「タピオカドリンクDIYキット」をオンラインで販売したのです。
ミルクボックスのタピオカドリンクDIYキットは、8コップ分のタピオカドリンクがつくれるティーリーフ(8種類のなかから選べる)、ブラウンシュガー、タピオカパール、そしてストローも含めわずか23ドルの価格で販売されており、売り上げの一部がパンデミックで苦しんでいる貧困層へ寄付される仕組みになっています。
自宅で簡単に、かつ自分の好みにあわせたタピオカドリンクがつくれるこのタピオカドリンクDIYキットは、発売当初からタピオカドリンクファンたちの間で大好評。インスタグラム、ティックトックとユーチューブを中心にタピオカドリンクレシピが広まり、ホームカフェトレンドに新しい風を吹き込みました。
3)ホームカフェトレンドはこれからどこへ進むのか
ホームカフェトレンドをきっかけに、昨年の下半期のスターバックスのコーヒー豆の売上げは前半期にくらべ17%増加1。そして、昨年6月までの半年間のコーヒーやエスプレッソメーカー売上げは、前年度の同時期の売上げに比べ100万ドル以上増えたと言われています2。
アメリカでは、コロナウイルスの罹患者が減少していることと、ワクチン接種が始まったことにより、カフェも含めた飲食店でのダインインが徐々に再開していますが、自分でドリンクを作ることの楽しさや、健康面と金銭面での利点を知ったひとが増えたことにより、今後ホームカフェトレンドがすぐに消えることはないでしょう。
では、このホームカフェトレンドは、今後飲料業界にどのような影響をもたらすでしょうか。まず、消費者の健康志向が深まっていることから、コーヒーや紅茶、クリーマーなどの原材料がさらに重要視されていくと考えられます。Nielsenデータによれば、2019年から2020年の植物性クリーマーの売上げは32%に増えており、今年もさらなる増加が期待できるでしょう3。
また、多くの消費者が、自宅でつくれるカフェドリンクのレシピを求め、ユーチューブやティックトック、インスタグラムを訪れています。そのため、ブランドみずからがSNSにドリンクレシピを共有することにより、消費者の興味と関心を集める機会をつくることができます。
今後、ホームカフェトレンドがどのように飲料業界を巻き込んで発展していくのか、とても楽しみですね。
Ys and Partnersでは、食品業界や化粧品業界、リテール業界向けに、米国現地での市場調査や消費者調査を行っておりますので、ぜひこの機会にご相談ください。
[ii] https://www.retaildive.com/news/coffee-makers-mixers-whiteboards-pandemic-fuels-sales-in-the-home-catego/583615/
[iii] https://www.nutritionaloutlook.com/view/plant-based-dairy-alternative-sales-grow-during-covid-19-pandemic
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“米国マーケティングトレンド研究会”
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